July, 30, 2019, Mainz--Max Planck Institute for Polymer Research (MPI-P)の研究チームは、新設計OLED開発に成功した。OLEDの層数をわずか1に減らすことができた。将来的には、これにより発光ダイオードはインクジェットプリンターでプリントできるようになる。開発されたダイオードの初のプロトタイプは、光度と効率ですでに現在の市販OLEDに匹敵している。
有機発光ダイオードは、もはや半導体材料ガリウムを含む化合物で構成されてはいない。いわゆる有機化合物であり、炭素が主成分。しかし、従来のLEDsと比べると、OLEDの光度と寿命は、現在、低い。このため、現在の研究分野が存在する。
Gert-Jan Wetzelaer をリーダーとするMPI-Pの研究チームは、新しいOLED概念を開発した。現在、OLEDは、様々な薄い層で構成されている。その一部は、電荷の伝送に利用され、他の層は光が生成される活性層に電子を効率よく注入するために利用される。こうして現在のOLEDの構成は、簡単に5~7層になる。研究チームは、2つの電極で電気を供給する単層構成のOLEDを開発した。これは、OLEDの製造を簡素化し、プリンタブルディスプレイへの道を開く。
初のプロトタイプで、研究チームは、わずか2.9Vで、1万カンデラ/m2を発光する輝度を生成することができた。これは、最新スクリーンの光度の約100倍に相当する。このような低電圧でそうした高光度達成は、現在のOLEDの最高記録である。研究チームの計測によると外部量子光率は19%。これは、供給された電気エネルギーの19%が、見る人の方へ出力される光に変換されることを意味する。また、この値でOLEDプロトタイプは、現在の5~7層以上で構成されるOLEDに競争することができる。
連続動作では、研究チームは、最新のディスプレイの10倍に相当する輝度で、いわゆるLT50寿命、約2000時間を計測することができた。この時間内に、最初の光度は、その値が50%減となった。
「将来的には、そのコンセプトをさらに改善し、一段と長寿命を達成する。そのコンセプトは、産業目的に使用可能であるという意味だ」とWetzelaerは話している。研究チームは、新開発の単層コンセプト、複雑さ低減OLEDは、いずれ光度低減に関係するプロセスの同定と改善に貢献すると考えている。
チームは、「熱活性化遅延傾向」(TADF)に基づいた発光層を利用している。この物理原理は、数10年前から知られていたが、OLED研究の焦点になったのは約10年前。電気エネルギーの光への効率的変換が日本で実証され、それ以来、研究チームは、TADFベースOLED作製に取り組んでいた。これらが、現在のOLEDで利用されているレアアース金属を含む高価な分子複合体を必要としないからである。
研究成果は、Nature PHotonicsに発表された。