July, 29, 2019, St. Lous--米国ではソーラパネル導入が増加しており、2019年早期に200万以上が新規導入され、第1四半期の記録となっている。
増加の一途を辿る需要に応えるために、現在の主流技術、シリコンベースソーラセルの代替となるローコストで、より効率的な技術が望まれている。過去10年、ハロゲン化鉛ペロブスカイトが、非常に有望な代替材料として急増してきたが、それらは安定性がない。また、鉛を含んでおり、これは毒性があり、地下水など、健康や環境危機の可能性がある。
ワシントン大学セントルイスの研究チームは、データ解析と量子力学的計算により発見された、新しいダブルペロブスカイト酸化物が、ソーラアプリケーションには、より安定的で毒性が少ない半導体であると考えている。
研究成果は、Chemistry of Materialsに発表された。
McKelvey School of Engineeringの機械工学&材料科学准教授、Rohan Mishraをリーダーとする、学際的、国際的チームは、新しい半導体を発見した。これは、カリウム、バリウム、テルル、ビスマスおよび酸素(KBaTeBiO6)で構成されている。鉛フリー、ダブルペロブスカイト酸化物は、当初の30000潜在ビスマスベース酸化物の一つだった。これら30000の中で、わずか25が化合物として知られていた。
世界最高速スーパーコンピュータの一つで、材料情報科学と量子力学的計算を利用して、ORNL博士課程学生、、Arashdeep Singh Thindは、KBaTeBiO6が30000の見込がある酸化物の中で最も有望であることを発見した。
「これが最も安定的な化合物であり、ラボで合成可能であることを確認した。最も重要なことは、ほとんどの酸化物がバンドギャツプが大きい傾向があるが、われわれの予測では、その新しい化合物は低バンドギャップである。これはハロゲン化ペロブスカイトに近く、ある程度満足できる特性である」とMishraはコメントしている。
バンドギャップは、電子が自由キャリを形成するために乗り越えなければならないエネルギー障壁。ソーラセルとの関連では、自由キャリアを抽出して電気デバイスに電力を供給、あるいは後の利用のために蓄積できる。ソーラセルアプリケーションで最も有望な化合物は、約1.5eV程度のバンドギャップである、とMishraは説明している。
同氏は、Lucy & Stanley Lopata教授、副長官補佐、DOE環境&化学工業、Pratim BiswasとKBaTeBiO6の合成可能性を検討した。アリゾナ州立大学ポスドク研究者、Shalinee Kavadiyaは、その製法の完成に取り組んできた。
「Shalineeは、半年かけてその材料を合成し、合成できると、予想通り、それは安定的であり、これも予想通りだが、バンドギャップは、1.88eVだった」とMishraは話している。
同氏によると、これらは初代のソーラセルであり、バンドギャップのさなる微調整を必要としているが、非毒性ソーラセルへの素晴らしい第1段階である。
「これは、われわれがハロゲン化鉛ペロブスカイトを脱することを示してる。ソーラセルアプリケーションにとどまらず他の半導体アプリケーション、LCDディスプレイ向けの半導体を設計できる実に大きな分野を開くものである」。
次に、研究チームは、この新しい半導体における欠陥の役割を研究し、エアゾル技術を使うような、より進んだ合成技術に眼を向ける。
(詳細は、https://source.wustl.edu)