July, 26, 2019, Seattle--カーネギーメロン大学とバージニアメイソンのベナロヤ研究所(BRI)の研究チームは、ナノスケールイメージング技術と拡張現実(VR)技術を組合せ、研究者が生物学的データに「踏み込める」方法を実現しようとしている。
拡張顕微鏡という技術とVRを統合することで、研究者は、従来の光学顕微鏡の能力を超えて、細胞構造を拡大し、探求し、分析することができるようになる。
この技術の開発は、Grand Challenges, an initiative of the Bill & Melinda Gates Foundationから20万ドルの助成を受けており、伝染病と自己免疫疾患の理解を促進し、病気診断と阻止および治療法開発力を強化するものである。
カーネギーメロン大学生物科学准教授、Yongxin (Leon) Zhaoは、拡張顕微鏡技術を開発した。これは、生検を物理的に拡大し、研究者が標準顕微鏡を利用して生体サンプルの細部を見ることができるようにする技術である。
Zhaoは、生検標本を化学的に水溶性ヒドロゲルに変えることでサイズを大きくする。次に、組織を緩くする処理をし、体積を100倍以上に拡大する。標本内の組織と分子は、次にラベル付けされ、撮像され、複合データに集められ、細胞とその構造の相互作用研究に使われる
しかし、その技術の限界は、現在の技術が解明できるよりも2~3桁多くのデータを抽出することである。その問題の解決に役立てるために、Gates Foundation助成金は、拡張顕微鏡とBRIで開発されたVR技術とを組み合わせる。
その目的にために特別に開発されたVR技術により研究者は、元の2D拡張顕微鏡画像を3Dで見て、操作することができるようになり、組織やタンパク質組織および相互作用を360°回転させて見ることができる。
「これは、研究者による複合的データ取扱方の未来である。それは没入型経験であり、ちょうどデータ内部に座っているように感じる。あらゆる角度、あらゆる点からデータを自由に研究できる」とZhaoは話している。
その拡張幻術技術は、BRIの前の研究技術ディレクタ、Tom Skillmanが開発した。同氏は、それ以来、VR企業、Immersive Scienceを立ち上げた。
「わたしの役割は、ソフトウエアツールの開発である。これにより研究者は、没入型科学というコンピュータ技術により大量のデータを理解する方法を利用できる。データ全てをVRに持ち込むことにより、研究者は、2D顕微画像を完全3Dで見ることができるだけでなく、そのデータと相互にやりとりし、チャネルを選択し、視野、色、コントラストを調整し、画像をつかんで回転させ、研究中の病気に結びつく画像の重要側面を素早く特定することができる」とSkillmanは説明している。
そのVRツール、ExMicroVRの最終目標は、拡張顕微鏡とともに、他の研究者とオープンプラットフォームで共有することである。病気のプロセスの新たな細部を見て、より大きく複合的なデータを理解できるようになることが目標である。
拡張顕微鏡データをVR 3D画像に変換する同システムは、利用しやすく、開発途上国の研究者や医者が簡単にアクセスできるようになる。最大6名の人々が協働し、同時に同じ標本を遠隔から見ることができるようになる。