July, 17, 2019, Los Angels--UCLA Samueli School of Engineeringの研究チームは,超高感度光検出システムを開発した。これにより天文学者は、銀河、星、惑星系を極めて精細に観察することができる。
同システムは室温動作であり、-270℃付近でしか動作しない同じような技術に対して大きな改善である。研究成果は、Nature Astronomyに発表された。
センサシステムは、遠赤外やマイクロ波を含む電磁波のテラヘルツ帯放射を検出する。
同システムは、極めて鮮明な画像を生成する。また広いスペクトル範囲でテラヘルツ波を検出できる。狭いスペクトル範囲しか検出しない現在の技術よりも、少なくとも10倍の改善である。また、個々の明らかなスペクトルシグネチャが存在するかどうかを見ることで、どんな元素、分子が宇宙のその領域に存在するかも同定する。例えば、水、酸素、一酸化炭素、他の有機分子。
「テラヘルツ周波数で見ることによりわれわれは、スペクトルの他の部分では見えなかった細部を見ることができる。天文学では、テラヘルツ領域の利点は、赤外光や可視光と違い、星間ガスやこれら天体構造に囲まれたダストで覆い隠されることがない。
その技術は、Jarrahiによると、宇宙ベース天文台で特に効果的である。地上と違い、テラヘルツ波は、大気の干渉なしに検出できるからである。
同システムは、研究者が天体や天体構造の組成、それらがどのように形成されて死滅するかの物理学への新たな洞察収集に役立つ。また、それらが星や銀河間に存在するガス、ダスト、放射とどのように相互作用するかについての疑問に答える際に役立つ。さらに、惑星が生命を受け入れるかどうかを示す、宇宙の水や有機分子の起源についての手がかりを明らかにできる。
そのシステムは地球でも利用できる。セキュリティでは有毒ガスの検出、あるいは環境モニタリング目的で使える。
新システムの要諦は、入力テラヘルツ信号を扱いやすい電波への変換方法である。テラヘルツ信号は、標準的化学装置で感知や分析が容易でない。
既存システムは、超伝導材料を使ってテラヘルツ信号を電波に変換する。しかし機能させるためには、それらのシステムは特殊冷却液を使ってそれらの材料を絶対零度に近い極低温に保つ。装置の過冷却は地球上では可能だが、センサを宇宙船に搭載する時、その寿命は搭載される冷却液の量に制約される。また、宇宙船の重量は非常に重要なので、その装置が必要とする余分な冷却液を搭載することは問題になる。
UCLAの研究チームは、冷却液や関連する重量問題に対処する新技術を開発した。そのデバイスは,光ビームを使って、半導体材料内のテラヘルツ信号を金属ナノ構造と相互作用させる。システムは、入力テラヘルツ信号を電波に変換する。これをそのシステムが読取り,宇宙物理学者が解釈できる。
(詳細は、http://www.ucla.edu/)