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NIST、異なる色のフォトン・エンタングルメント

June, 21, 2019, Gaithersburg--NISTの研究者は、チップベースの量子コンピュータ向けデバイスを開発した。
 現在、開発中の最先端の通信システムは、量子科学のの特性を利用して情報を蓄積、伝送する。しかし、電流ではなく、光に依存する量子通信システムを設計している研究者は苦境に直面している。量子情報を蓄積、処理する光コンポーネントは一般に、可視光フォトン(光粒子)を動作させる必要がある。しかし、波長が10倍程度長い、近赤外フォトンだけが、その情報を光ファイバで何キロメートルも伝送できる。
 現在、NISTの研究チームは、この問題を解決する新しい方法を開発した。チームは、量産可能なチップベース光コンポーネントを使い、可視光と1個の近赤外フォトンでできた量子相関ペアを初めて、作った。これらのフォトンペアは、両方の領域のベストを組み合わせている。可視光側部分は、トラップされた原子、イオン、コンピュータメモリの量子バージョンとして機能する他のシステムと相互作用可能である。一方、各結合の近赤外側は、光ファイバで長距離伝搬が可能である。
 この成果は、遠方の場所へ安全な情報伝達を行う光ベースの回路の能力を強化する見込がある。NISTの研究者Xiyuan Lu、 Kartik Srinivasanと、University of Maryland NanoCenterの研究チームは、特殊な可視光と近赤外フォトンのペアを使い、エンタングルメントとして知られる量子相関を実証した。とは言え、研究チームの設計法は、関心のある特別なシステムに一致するように変更して、多くの他の可視光/近赤外ペアに簡単に適用できる。さらに、エンタングルメントを作る微小光コンポーネントは、大量製造できる。
 量子力学の直観に反する特性の一つは、量子エンタングルメントの存在である。この場合、2つ以上のフォトン、あるいは他の粒子が、一つの単位として振る舞うように本質的に結合するように準備されている。エンタングルした粒子の一つの量子状態を決める測定は自動的に他方の状態を決める、たとえ2つの粒子が宇宙の反対側にあってもである。エンタングルメントは、多くの量子情報スキームの核心にある。これはには、量子コンピーティングや暗号化も含まれる。
 多くの状況で、エンタングルした2つのフォトンは、同じ波長、色である。しかし、NISTの研究者は、意図的に、奇妙なカップル、色が全く違うフォトン同士のエンタングルメントを作ることに着手した。
 「われわれは可視光フォトンを結びつけたかった。これらは、原子システムにおける情報蓄積に適している。また通信用フォトンは近赤外であり、光ファイバで低損失伝送に適している」とSrinivasanは説明している。
 フォトンをほとんどの量子情報蓄積システムとの相互作用に適するようにするために研究チームは、広く、散乱分布するのではなく、光が特定の波長で鋭いピークを持つようにする必要があった。
 エンタングルしたペアを作るためにチームは、特別に改良した光「ウイスパリングギャラリ」を作製した。これは、微小なレーストラックを回るように光を操作する、ナノサイズのシリコンナイトライド共振器で、ロンドンのセントポール教会(St. Paul’s Cathedral)のドームのような湾曲壁を回る音響波と似ている。音響ウイスパリングギャラリとして知られる、そのような湾曲構造では、壁のある部分の近くに立っている人が、どこであれ、他の部分から生じたかすかな音を簡単に聞き取ることができる。
 レーザ光の選択された波長が共振器に向けられると、可視光と近赤外フォトンのエンタングルしたペアが出現した。(実験で使用した特別なタイプのエンタングルメントは、時間-エネルギーエンタングルメントとして知られており、フォトンのエネルギーを、それらが生成される時間とリンクさせる)
 「欲しいだけ多くのペアを作るためにわれわれは、これらウイスパリングギャラリ共振器の設計法を考案した。背景雑音も他の外部光も非常に少ない」とLuはコメントしている。研究チームは、通信フォトンが光ファイバを数km伝送した後もエンタングルが存続することを確認した。
 将来的には、2つのエンタングルペアと2つの量子メモリを組み合わせることで、フォトンペアに固有のエンタングルメントが量子メモリに移行できるようになる。この技術は、エンタングルメントスワッピングとして知られており、通常では可能でないような非常に長い距離でメモリが相互にエンタングルできる。
 「われわれの提案は、そのように長距離のエンタングルメントを可能にする、適切な特性を持つ量子光源の作り方の考案であった」とSrinivasanは話している。