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乳ガン遺伝子断片をターゲットにした定量化に役立つ金ナノ粒子

April, 30, 2014, West Lafayette--パデュー大学の研究チームは、生きた細胞のガンレベルを検出、計測する方法を開発した。これには、合成DNAの微小な金粒子を用いる。
 農業工学/生物工学教授、Joseph Irudayaraj氏の研究チームは、金ナノ粒子を、BRCA1メッセンジャRNAスプライス変種として知られる遺伝物質の断片を対象に結合させるために使った。こののスプライス変種は乳ガンの存在とそのステージを示すことができる。細胞内のこれらmRNAスプライス変種は、光が金ナノ粒子と相互作用するときに生み出す特殊な信号を調べることで見つけ出すことができる。
 Irudayaraj教授によると、これは単純だが高度な技術であり単一細胞のガン検出に使える。また、ガンがどの程度活動的であるかも判断できる。「これらの遺伝分子を定量化できることは、臨床医がガン患者を個別治療する際に役立つ」。
 この技術は、細胞生物学の理解促進にも寄与し、単一細胞をベースにした遺伝的プロファイリングや診断にも道を開くものである、と同教授は説明している。
 BRCA1は腫瘍抑制遺伝子であるが、ある環境下では細胞をガン性タイプに変える。細胞内のBRCA1 mRNAスプライス変種の数を計測すると、遺伝子が低発現であるかどうか、乳ガンとなりうる兆候であるかどうかが分かる。
 現状のガン検出法は、数100、数1000の細胞からなるサンプルに依存しており、ガンに結びついた遺伝子が個々の細胞でどのように発現するかについて詳細な情報は得られない。
 単一細胞の中にBRCA1 mRNAスプライス変種を検出し定量化したのはこの研究チームが初めてである。これは、mRNAが形成されたときに取り出された遺伝物質の断片である。スプライス変種は細胞の運命を決め、特定のタンパク質がどのように発現するかを決める。スプライシングプロセスにおけるエラーは、様々な病気に関連している。
 「この方法により、われわれは基本的に、干し草の山から1本の針を見つけることができる。その干し草の山に5本の針があるか、あるいは50本の針があるかどうかを判断できる」と同氏は説明している。
 研究チームは、生体細胞内のmRNAスプライス変種を正確に特定するために一般的なナノテクノロジー法を適用した。金ナノ粒子を作製し、BRCA1 mRNAスプライス変種を補完するDNA鎖にそれらを貼り付けた。
 細胞の中に注入するとナノ粒子はmRNAスプライス変種のどちらかの端に付き、二量体(ダイマ)を形成する。ダイマは光があると固有のシグナルを発するので、研究チームは簡単な光源で細胞を照射することによってダイマの数を数えることができる。ダイマの数は、1つの細胞内のBRCA1 mRNAスプライス変種の数に対応している。1個の金粒子では光の輝き方が違うので、ダイマと浮遊性の金粒子との区別がつけられる。
 研究チームはダイマの定量化に2つの方法を用いた。分光法は、光が対象に当たったときの散乱の仕方を計測し、測色計画像ではダイマは赤い点を示すが単一の金粒子は緑色に見える。
 この技術は、約30分で1個の細胞内のmRNAスプライス変種を定量化できる。Irudayaraj氏は、同システムを改良してこのプロセスをスピードアップし、組織生検で使えるようにしようとしている。
 「組織生検で、単一細胞分解能で重要なmRNAを定量化できると、重要な病気の治療プロトコル改善で非常に強力なものになる」と同氏は語っている。