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光パターンと透明キューブを使い新しいコンピューティング形式を実現

June, 4, 2019, Hamilton--マックマスター大学(McMaster University)の研究チームは、シンプルで極めて斬新なコンピューティング形式を開発した。これは、ポリマーキューブのさまざまなファセットにパターン化された光と影の帯を照射し、現れた統合結果を読み取ることによるものである。
 キューブの材料が光を直感的に読取り、反応する。植物が太陽に向かい、イカが皮膚の色を変えるのと全く同じことである。
 研究者は、化学と化学生物学准教授Kalaichelvi Saravanamuttuが指導する化学の院生たちである。同准教授の研究室は、自然の生物系からヒントを得たアイデアに注目している。
 研究チームは、簡単な加減算を行うための新しいプロセスを使うことができた。
 「これらは刺激に反応する自律的材料で、インテリジェントに動作する。このように加減算ができることは素晴らしい。われわれは、他の計算機能を行う方法を考えようとしている」とSaravanamuttuは話している。
 研究成果は、Nature Communicationsに発表された。これは、全く新しいコンピューティング形式であり、研究チームによると、まだ考えられていない、神経網の構造にそって組織される可能性がある複雑で有用な機能の見込みがある。
 そのコンピューティング形式は非常に局在化されており、電源不要で、可視光スペクトル内で完全動作する。
 その技術は、非線形動力学と言う化学の1分野であり、光に対する特殊な反応を生み出すために設計、作製された材料を使う。
 研究者が、微小ガラスケースの上部と側面から積層型縞状光を照射する。ガラスケースは、アンバー色のポリマーを保持しており、ポリマーはボードゲームで使われるサイコロサイズである。ポリマーが液体としてスタートし、光への反応でゲルに変化する。
 中間色のキャリアビームが、背後からカメラへとキューブを透過する。キューブの材料によって屈折されると、カメラが、その結果を読み取る。キューブの成分は直ちに数千のフィラメントを形成する。フィラメントは、光パターンに反応して、新しい3Dパターンを形成し、結果が表示される。
 「既存のコンピューティング技術と張り合うつもりはない。われわれは、よりインテリジェントで高度な反応をする材料を作ろうとしている」と化学修士課程の学生、Fariha Mahmoodはコメントしている。