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コロイド量子ドット、赤外でのLED高輝度化

May, 31, 2019, Castelldefels--ICFO研究チームは、赤外域で前例のない量子とパワー変換効率のコロイド量子ドットLED開発を報告している。
 理想的な光電子半導体材料は、強力な発光エミッタでなければならない、つまり光励起で非常に効率よく発光し、デバイスに電気注入させる効率的な電荷導体でなければならない。これら2つの条件を満たすときに、高効率発光ダイオードになり、ショクレ-クワイサ(Shockley-Queisser)の限界に近づくことができる太陽電池になる。今日まで、これらの条件を満たすことに近い材料は、高価なIII-V半導体エピタキシャル成長に基づいており、CMOSエレクトロニクスにモノリシック集積できない。
 ICFO(光科学研究所)チームは、赤外コロイド量子ドットで構成される溶液処理ナノ合成方式を報告した。これもこれらの基準を満たし、同時にローコストで、CMOS集積も容易である。コロイド量子ドット(CQD)は、非常に小さな半導体粒子、結晶であり、サイズは数ナノメートル。また、そのサイズのために、CQDは独自の光学的、電子的特性を持つことができる。それらは光の優れたアブソーバ、エミッタであり、サイズと形の関数でその特性を変えることができる。より小さなQDは青色領域で発光し、大きなQDは赤色で発光する。
 CQD LEDの利用は、例えば第3世代、溶液処理、無機太陽電池など先端技術における主要要素の一つになっている。短波長および中赤外の光学センシング用デバイスにこれらナノ結晶を実装するこで非常に多くのアプリケーションが実現した。監視、暗視、製品、プロセスおよび環境モニタリングや分光学が含まれる。
 この研究の重要な特徴は、前例のない低電子欠陥密度を達成する超ナノ結晶レベルで設計されたCQD複合構造の開発であった。CQD固体における電子欠陥抑制への以前の取り組みは、主にCQD表面の化学的パッシベーションに基づいていた。それは、PbS QDにおける問題を解決できないものであった。ICFOの研究チームは、適切なマトリクスを造るという代替パスを採用した。チームは、エミッタCQDのリモート電子パッシバント(passivant)として役立てるために、発光QDをマトリクスに埋め込んだ。さらに、効率的な電気注入を達成にするために、QDエミッタへの効率的電荷送り込みを容易にするマトリクスのエネルギー的視点が改良されていた。
 これらの混合デバイスで、研究チームはさらに一歩先へ進み、太陽電池を作製して、赤外域でその性能をテストした。そうすることで、チームは電子状態密度の調節とともに、これらのナノコンポジットで達成された効果的なパッシベーションが、理論限界に非常に近い開回路電圧(VOC)を供給する太陽電池という成果になっていることを見いだした。開回路電圧(VOC)は、太陽電池から利用できる最大電圧であり、シングルQD構成で0.4Vから、三元混合構成で最大~0.7Vに増加しており、~0.9 eVで電池の低いバンドギャップを考えると素晴らしい値である。ICREA教授、ICFO、Gerasimos Konstantatosは、「この研究の最も素晴らしい成果は、ドット表面に生ずる化学的欠陥で満たされた伝導QD材料系で達成できる極めて低い電子トラップ密度である。それらLEDの非常に高い量子効率は、われわれが示しているこのパッシベーション戦略の結果である。もう1つの素晴らしい成果は、QD太陽電池で、非常に高いVoc値を達成できることである。これは、半導体膜における状態密度の斬新なエンジニアリングアプローチと、非常に低いトラップ密度により、相乗的に達成されたものである」とコメントしている。この研究の筆頭著者、Santanu Pradhanは、「次にわれわれは、この電子状態密度低減を他の手段と相乗的に利用して、高Vocと電流生成を同時達成し、それによって太陽電池デバイスで記録的なパワー変換効率達成を目標にしている」と話している。この研究で得られた成果は、太陽電池にナノスケールで集積されたQCD赤外発光LEDのエンジニアリングが、赤外域でのこれらのデバイスの性能効率を大幅に改善できたことを証明している。そうした成果は、まだ十分に開拓されていないスペクトル域への道を開き、驚くべき新しいアプリケーション、例えば食品検査用のオンチップ分光計、環境モニタリング、製造プロセスモニタリング、バイオメディカル向けのアクティブイメージングシステム、あるいは暗視アプリケーションなどである。

(詳細は、https://www.icfo.eu/)