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東北大学、レーザ照射下の高分子材料をX線位相で観察

May, 29, 2019, 仙台--東北大学多元物質科学研究所の百生敦教授(高輝度光科学研究センター客員主席研究員)らのグループは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業ERATOの一環として、高分子レーザ加工の様子を三次元的かつ動的に可視化する技術を開発した。
 これは、高分子材料などの軽元素からなる物質に優れた感度を持つX線CT(X線位相CTという)に基づくものであり、大型放射光施設SPring-8を用いることにより、さらに高速三次元撮影を可能とするものである。シンクロトロン放射光による試料への照射ダメージが危惧されたが、X線位相CTに適したフィルタを施すことで問題を回避し、この開発を成功させた。
 一方、非接触で高精度な加工を可能とするレーザ加工が広く普及しているが、その加工性能は、加工表面を見ることによって判断される。しかし、表面からは見えない材料の中のミクロなスケールにおいてどのような変化が起こっているか、十分に理解されているとは言えない。このような情報を獲得できれば、より高度な加工制御が可能となってくるものと期待される。
 今回開発した動的X線位相CTを高分子材料のレーザ加工モデルに適用し、動的変化(融解、発泡、亀裂生成、灰化など)を三次元的に可視化することに成功した。レーザビームのサイズを大きく超える範囲で融解や発泡が進展していく様子が定量的に捉えられた。レーザ加工に関するこれまでにない知見を獲得するツールとして大いに期待される。
 研究成果は、Scientific Reportsにオンライン出版された。

(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)