May, 23, 2019, 大阪--大阪大学 産業科学研究所の永井健治教授、理化学研究所 光量子工学研究センターの横田秀夫チームリーダー他の共同研究グループは、「生物発光膜電位センサLOTUS-V(Luminescent Optical Tool for Universal Sensing of Voltage)」を利用した新規脳活動計測法の開発に成功した。
LOTUS-Vが神経活動に応じてその発光色を変化させることを利用して、ミリ秒単位で変化する脳活動の計測ができる。生物発光を利用することで、夜にホタルの光を撮影するように、LOTUS-Vの色の変化を離れた場所からでも検出できる。このワイヤレスなライブ脳活動計測技術により、世界で初めて自由行動中の複数マウスからの同時計測が可能になった。
この計測法を用いて実際にマウスが他のマウスと接触する際の脳活動を観察し、一次視覚野の神経活動が接触に応じて優位に上昇することを世界で初めて発見できた。これは今回開発された計測法が、未知の脳機能を発見する手段として有用であることを示唆している。特に、これまで研究が困難であった、複数動物間のコミュニケーションなどの社会性行動をつかさどる脳機能の解明、関連する自閉症スペクトラムや対人恐怖症などの精神疾患の研究・治療への貢献が期待される。
研究成果は、に英国科学誌Scientific Reportsに掲載された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp/)
研究グループ
大阪大学 産業科学研究所の永井健治教授、稲垣成矩 日本学術振興会 特別研究員(当時)、揚妻 正和 科学技術振興機構 さきがけ研究員(当時)、東北大学の大原慎也助教、飯島敏夫名誉教授、理化学研究所 光量子工学研究センターの横田 秀夫 チームリーダー