April, 28, 2014, Vienna--ウイーン工科大学(TU Vienna)によると、超短レーザパルスで化学反応は制御できる。電子はほとんど質量がないのでレーザの影響を受ける。一方、原子核はそれより遙かに重いのでほとんど影響を受けない。
通常、化学反応は独自の方向性を持っており、ボールが転げ落ちるようなものである。とは言え、化学反応を意図的に制御することも可能だ。ウイーン工科大学では、分子にフェムト秒レーザを当て、分子内の電子の配列を変える。この相互作用は非常に短いので最初は、電子よりも遙かに質量が大きい原子核に、識別できるような影響は見られない。しかし、電子配列の乱れは、やはり化学的プロセスを引き起こし、最終的に原子核を相互に引き離す。レーザパルスの特性によって最終的にどのような化学物質ができるかが決まる。
化学者は化学反応させたい分子を選択することはできるが、通常結果は分子の物理的、化学的特性および温度のような外的パラメータによって決まり、反応そのものは制御できない。TU Vienna(フォトニクス研究所)の研究チームは、エチレン(C2H4)、アセチレン(C2H2)のような炭化水素を細かく分割することに成功した。
Markus Kitzlerによると、2つの異なるレーザパルスを使用する。最初に約50fsで分子の回転速度を変える。しばらく後、全ての分子がほぼ整列すると、第2のレーザパルスを当てる。これは5fs程度。このパルスが電子の状態を変える。分子から電子を引き剥がすことさえできる。
5fsという非常に短いレーザパルスで化学的プロセスが始まる、遙かに長いタイムスケールで起こるプロセスだ。これは、適切な場所に正確に小さな爆発を起こして巨大なビルを揺らし、最終的に倒壊させるのと同じことである、とKitzler氏は説明している。
最終物質の化学的組成は多くの多様なパラメータで制御できる。最初のレーザパルス、持続時間、第2のパルスの強さで分子が整列し、これによって分子をイオン化する。