May, 9, 2019, Madison--分光計は、吸収および放出光特有の「フィンガープリントに基づいて危険な化学物質を検出できる。しかし、こうした分光装置は、これまで大きく、高価であったので、ラボの外で利用できなかった。
ウイスコンシン大学マジソン校のエンジニアは、精度を犠牲にすることなく携帯電話のカメラに集積できるほど小さく簡便な分光計を開発した。
研究成果は、Nature Communicationsに発表された。論文の筆頭著者、Zhu Wangは、「これは、高分解能、低コスト製造が可能な、コンパクトなシングルショット分光計である」と言う。
チームのデバイスには、ハイパースペクトルイメージングという先進的能力もある。これは、画像の個々のスペクトルについて情報を収集し、材料を同定し、複雑な背景の中にある特定物質を検出できる。たとえば、ハイパースペクトルイメージングは、岩肌の貴重な鉱物の継ぎ目を検出したり、植生が盛んなエリアの特定植物を確認したりできる。
あらゆる要素の特定フィンガープリントは、固有の放出、吸収光の波長を含む、また、その光を感知する分光計の能力により研究者は、未知の複合物の組成の分析から、遠くの星の構成物を明らかにすることまで、あらゆることを可能にする。
分光計は通常、プリズム、グレーティングを使って、対象物からの放出光を個別バンドに分ける、各々が異なる波長に対応している。カメラのフォトディテクタは、それらのバンドを捉え、分析できる。例えば、ナトリウム元素の特殊フィンガープリントは、589nmと590nmの2波長で構成されている。
人の眼は、590nm波長の光を黄色がかったオレンジとして見る。短い波長は青や紫に対応しており、一方長い波長は赤く見える。太陽光は、完全な虹の混合であり、白く見える。
異なる色の混合から差を分解するには、分光計は通常、比較的大きく、長い経路長を持ち、光ビームを進め、分離しなければならない。
しかし研究チームは、微小な分光計を作製した。片側がわずか200µmで、一般的なデジタルカメラのセンサに直接搭載できる精巧さである。
小型サイズが可能になったのは、研究チームが特殊設計の材料に基づいてデバイスを作製したからである。その材料は、入力光がセンサに届くまでに数回前後に跳ね回らせる。そのような内部反射はパス長を延長しているが、光が沿って進むパス長はサイズを大きくすることなく、デバイスの分解能をあげている。
また、デバイスはハイパースペクトルイメージング機能があるので、ペアが、裸眼では区別できないものに統合され重なった投影のスナップショットから(5個、9個から)2つの鮮明な画像を分解する。
現在、チームは、そのデバイスのスペクトル分解能を高め、それが捉える画像の鮮明さ、明快さを高めようとしている。そうした改善が、一段と強化されたセンサへの道を開くと考えられている。
(詳細は、https://www.engr.wisc.edu)