April, 8, 2019, Lausanne--単なる光チップと普通のカメラで、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームは、小さなサンプルの生体分子を一つずつ数え、その位置を決定した。その微小デバイスは、オプティクスとスマートイメージン分析とを組み合わせたもので、わずか1原子厚ののグラフェンシートさえ検出できる。このセンサタイプは、いずれ個別化医療で重要な役割を果たすようになる。
それほど遠くない未来に、われわれの各々が、ナイトスタンドに置いたりポケットに入れるほどの小さなデバイスを持ち、われわれの健康レベルを知り、血液や唾液の望ましくない微量のバイオマーカー特定するようになる。つまり病気の早期警戒システムとして役立つ。これは、個別化医療の明るい見通しの一つである。
EPFLのBioNanoPhotonic Systems (BIOS) Laboratoryが開発した強力なツールにより、このような技術革新の実現が一歩近づいた。それは、超薄、微小光学チップで構成され、標準CMOSカメラと組み合わせ、イメージ分析機能を利用すると、サンプルの生体分子を一つずつカウントして、その位置を確定できる。研究成果は、Nature Photonicsに掲載されている。
非常に強力なセンサ
この画期的な技術は、フォトニクスの人気上昇技術、メタサーフェスに基づいている。メタサーフェスは、特殊な方法で整列された数100万のナノサイズ素子で覆われた人工物シートである。一定の周波数でこれらの素子は、極めて小さな体積に光を押し込むことができ、これにより超高感度光学「ホットスポット」が実現する。
光がメタサーフェスを照射し、これらのホットスポットの一つの分子に当たると、その分子は即座に検出される。実際に、照射した光の波長を変えることでその分子の正体が明らかになる。
分子の走査と撮像
メタサーフェスに様々な光を使用して、CMOSカメラで毎回撮像することで、研究者はサンプル内の分子数を数え、センサチップに起こっていることを正確に知ることができる。「われわれはスマートデータサイエンスツールを使って、このプロセスで獲得した数百万のCMOSピクセルを分析し、傾向を特定する」と論文の筆頭著者、Filiz Yesilkoyは言う。「われわれは、ホットスポットの個々の生体分子だけでなく、わずか1原子厚のシングルグラフェンシートさえも検出し、撮像できることを実証した」。
この研究をさらに進めて研究チームは、同システムの第2バージョンを開発した。ここではメタサーフェスは、様々な領域で異なる波長で共鳴するようにプログラムされている。「この技術は、一段とシンプルであるが、分子の検出では精度が落ちる」とEduardo R. Arveloは話している。
病気の検出で大変革
BIOS研究所の責任者、工学部で同プロジェクトを指導している、Hatice Altugは、オプティクス分野に計り知れない潜在性を認めている。「光は多くの特性を持つ、強度、位相、偏光などだ。さらに空間を走ることができる。つまり、光学センサは、将来の課題、特に個別化医療で大きな役割を果たす」とコメントしている。