March, 13, 2019, 東京--古河電工は、インコヒーレント光を用いたラマン増幅用の新しい励起光源技術を開発した。インコヒーレント光を用いた新しい励起光源技術は、励起光の揺らぎによる信号光への影響を抑えるため、従来は実用化が困難であった前方励起ラマン増幅が実現できる。
前方励起ラマン増幅は光ファイバ通信の伝送特性向上、伝送距離拡大に有効な技術であり、今回の開発は、5G時代の急激なトラフィック増大の予想に対応して世界的に開発が進む600Gb/s や1Tb/s 超のデジタルコヒーレント光伝送など、光ファイバ通信システムの高速・大容量化に大きく貢献するものと期待される。
この新しい励起光源技術とラマン増幅光伝送における有効性については、Photonics West 2019、OFC2019で発表した。
今回の新しい励起光源技術は、インコヒーレント光源に半導体増幅器(Semiconductor Optical Amplifier: SOA)の発する自然放出光(Amplified Spontaneous Emission: ASE)を利用している。ASEはランダムな光であり、ファブリ・ペロー共振器構造のレーザにみられる発振モード間の揺らぎが無く、前方励起ラマン増幅でも信号光に影響を与えない。
一方、光ファイバ通信システムに適用するには小型、高信頼な光モジュールが必要となるが、古河電工は、デジタルコヒーレント光伝送用信号光源で培ってきたSOAおよび高度なパッケージ技術を有しており、これらを最大限に活用し小型で高出力なインコヒーレント光源技術の開発に成功した。また、インコヒーレント光を励起レーザでラマン増幅する技術開発も合わせて進め、光ファイバ通信システムへの適用領域拡大もはかった。例えば、新しい励起光源を1次励起、励起レーザを2次励起とすれば長距離伝送システムの特性向上が容易になる。
(詳細は、https://www.furukawa.co.jp/)