March, 1, 2019, Maryland--原子内部の電子は、地球の周りの衛星のように、原子核の周りを動き、量子物理学で決まった軌道を占めている。光は電子を励起して別の、もっとエネルギーの高い軌道に押し上げるが、その位置は永続的ではない。ある時点で励起された電子は、緩和されて元の軌道に戻り、原子は、蛍光と呼ばれる光を自然発光する。
科学者は、励起された電子の緩和時間を調整するために原子の周囲に仕掛けを作り、それが蛍光のレートを決める。新しい研究では、Joint Quantum Instituteの研究チームは、光ナノファイバが、ルビジウム原子発光の速さに大きく影響することを観察した。その研究は、蛍光が、ナノファイバ近くにある原子の励起に用いられた光の形状に依存することを示した。
「原子は一種のアンテナである。光を吸収し、それを空間に戻す。そばにあるものはなんでもこの放射プロセス影響を与える可能性がある」とメリーランド大学(University of Maryland)院生、論文の筆頭著者、Pablo Solanoは説明している。
これら原子アンテナに環境がどのように影響するかを調べるために研究チームは、ナノファイバをルビジウム原子で取り囲んだ。ナノファイバは、光の多くがファイバの外へ出る特注導波管であり、これにより原子との相互作用が強化される。200nm足らずのナノファイバに最も近い原子は、光の存在を最も感じた。この領域の原子からの蛍光の中には、ファイバにあたり、原子に戻ってくるものがあった。代わりに、ルビジウム原子の電子が励起状態にとどまる時間の長さが最終的に変わる。
研究者によると電子の寿命と、それに続く原子発光は、その光の波動特性に依存することが分かった。光波は動きながら振動しており、時にはヘビのようにずるずると進み、またDNAストランドのように渦巻くこともある。研究チームの観察によると、励起状態にとどまる電子を光の形状が規定することは確かであり、別の時には電子を急激に外に出した。
「われわれは、光のその振動特性を一種のノブのように使って、ナノファイバ近傍の原子蛍光をどのように刺激するかを制御することができた」とSolanoは話している。
研究チームは、元はナノファイバの原子に対する影響を計測し、結果とこのシステムの理論予測とを比較しようとしていた。チームは、計測と既存モデルの不一致を確認した。既存モデルは、ルビジウム内部構造の複雑な細部を多く含んでいる。この新しい研究は、原子-ファイバ相互作用のより簡潔な実態を明らかにし、チームはその不一致の理解に必要な研究をさらに進めると言う。
「この研究は、われわれがここで使用した光ナノファイバなど、ナノスケール光ガイド構造付近の光と原子の相互作用についての理解向上に向けた研究における重要な一歩である」とNISTサイエンティスト、JQIフェロー、William Phillipsはコメントしている。同氏は、この研究の研究リーダーの一人である。