February, 27, 2019, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、独自に開発した半導体ナノ構造形成方法を用いて髪の毛の1/100程度の太さの高品質なナノワイヤレーザ構造を作製し、ナノワイヤではこれまで実現されていなかった光通信波長帯での室温レーザ発振に成功した。
さらにナノワイヤ構造を厳密に制御することで通信波長帯1300~1600nm全域での室温レーザ発振も実現した。この技術は、光集積回路実現に向け最大の難関であった微小レーザ光源の直接形成と光ファイバ通信網とのシームレスな接続を可能にすると期待される。
研究成果は、2019年2月22日(米国時間EST14:00)に米国科学誌「サイエンス・アドバンシーズ」で公開された。
今回研究チームは、従来の金や銀の異種金属を用いず、発光/障壁層構成原子と同元素である(不純物になる心配のない)インジウム金属を触媒とする自己触媒ナノワイヤ成長法を開発した。この手法を用い、発光層にインジウムヒ素(InAs)、障壁層にインジウムリン(InP)というそれぞれ触媒金属+単一元素からなる多層膜ナノワイヤレーザ構造を作製した。これは通常二次元ヘテロ構造では大きな格子不整合のために作製不可能な層の組み合わせ。この構造からの光励起による発振特性を調べ、通信波長帯である1570nm付近でナノワイヤ構造としては初めて室温でレーザ発振を観測した。また発光層の厚さのみを精密に変化させることでレーザ発振波長が1300~1600nmで制御可能であることも実証した。これは現在用いられている光通信波長をほぼカバーする。
(詳細は、http://www.ntt.co.jp)