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双方向動作型デュアルコムファイバレーザの開発に成功

February, 26, 2019, 東京--電気通信大学の美濃島薫教授、中嶋善晶 特任助教、秦祐也博士前期課程学生らは、広い波長帯域と高いコヒーレンスを持ち、繰り返し周波数が異なる2つの光コムを発生するデュアルコムファイバレーザを開発した。
 パルス光の繰り返し周波数が精密に制御された超短パルスレーザである光周波数コム(光コム)は、周波数標準、高精度分光、高精度マイクロ波発生、天文観測、絶対距離測定などさまざまな分野において必要不可欠なツールになっている。特に光コムを用いた精密分光では、繰り返し周波数が異なる2つの光コムを光源に用いるデュアルコム分光法が提案されている。この方法は、第1の光コム(Signal comb)に測定対象の原子や分子などの情報を記録し、第2の光コム(Local comb)とのインターフェログラムから分光情報を得るため、広帯域、高速かつ精密にデータを取得できる点が優れている。一方、2つの光コムには高いコヒーレンス性と安定性が要求され、複雑な制御系や信号処理系が必要であるためシステムが高価になり、利用の拡大が進んでいなかった。
 この課題を解決するため、1台のレーザ共振器から2つの光コムを発生可能なデュアルコムファイバレーザを簡易な構成で実現した。高性能かつ実用性の高い光コム光源として実績のあるエルビウム添加ファイバを用いたモード同期レーザを基に、時計回りと反時計回りの両方向に対称的な共振器構成を採用し、モード同期を安定化する光学素子のみを共有しない構成とした。開発したレーザは、2つの光コムに共通な原因で発生する雑音の抑制効果に優れ、高い相対安定性を備えている。さらに、このレーザは堅牢かつ小型であるため、実用的で広帯域なデュアルコム分光装置を実現する有力な光コム光源となることが期待されるとともに、材料特性評価、イメージング、センシングなど、多くの分野への活用が期待される。
 研究成果は、Optics Expressで公開された。

(詳細は、http://www.jst.go.jp)