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環境的に安定したレーザ、並外れて高純度光を発光

February, 26, 2019, Cambridge--MITリンカーン研究所(Massachusetts Institute of Technology’s Lincoln Laboratory)のチームは、環境条件に反応して変化しない、極めてスペクトル純度の高い光を発光するコンパクトなレーザを開発した。その新しい、潜在的にポータブルなレーザは、多くの科学アプリケーションに恩恵をもたらし、GPS時計を改善し、宇宙における重力波検出を前進させ、量子コンピューティングに有用である。研究成果は、Opticaに発表された。
 たとえレーザが1波長で高純度発光するように設計したとしても、温度や他の環境要因の変化でノイズが生じ、発光がシフトしたり、周波数が広がったりする。この発光の広がったスペクトルは、レーザ線幅である。研究チームは、新しいアプローチを利用して、ファイバや半導体レーザでこれまでに達成したよりもスペクトル線幅が狭い光ファイバレーザを作製した。その同じレーザは、85 nanoKelvinの温度変化を検知し補正する。 
 「現在、超低膨張(ULE)キャビティレーザが最狭線幅、最高性能を示しているが、それらは大きく、環境ノイズの影響を非常に受けやすい。われわれの目標は、ULEレーザを可搬で、環境ノイズに影響されないものに置き換えることである」と論文の筆頭著者、William Lohはコメントしている。
 研究チームは、リング共振器構成の光ファイバ短ループ(~2m)をベースにしたレーザを開発した。ファイバレーザは、コンパクトでラギッドであり、環境変化への反応は比較的緩慢となりがちである。チームは、ファイバと非線形光学効果、ブリルアン散乱の利点を統合して、線幅わずか20Hzのレーザを実現した。比較のために他のファイバレーザの線幅は、1000~10000Hzであり、市販の半導体レーザは一般に100万Hz程度の線幅である。
 長期、短期環境変化に直面してレーザを超高安定にするためにチームは、レーザ信号の自己参照法を開発して温度変化を感知するようにした。その方法は、他の温度計測アプローチと比較して高感度であり、精密な補正信号の計算ができる。これを利用して、レーザを元の温度の発振波長に戻すことができる。
「温度は、レーザノイズの重要な原因である。高品質レーザは、狭線幅だけでなく、長期にわたり発振安定性を維持する方法も必要である」とLohは話している。
 この新しい光源を使って、GPS対応デバイスに使用する新世代の光原子時計を改良することができる。GPSによりユーザは、先進的な原子時計を搭載した人工衛星ネットワークからの信号を用いた三角測量によって地球上の位置を正確に知ることができる。各人工衛星は、タイムスタンプを提供し、システムが、それらの時間の相対差に基づいて位置を計算する。
 そのレーザは、ブラックホールの衝突、星の崩壊から来る重力波を検出する、レーザ干渉計重力波観測所(LIGO)で使用されるような干渉計にも役立つ。レーザノイズがあると、干渉計は重力波の非常に小さな摂動を検知できなくなるので、超高安定レーザは、このようなアプリケーションに必要とされている。
 「重力波観察のためにより長い干渉計アームを作製し、宇宙でレーザを使用する研究が進められている。コンパクトでロバストであるため、われわれのレーザは、宇宙で重力波検出の候補となり得る」とLohは話してる。
 レーザは、現状、ラボ用ベンチトップシステムであるため、研究チームは、小型パッケージを開発している。スマートフォン程度の可搬バージョンを実現するためにより小さな光コンポーネントを組み込むことを考えている。