February, 18, 2019, Grenoble--CEA-Techの研究機関、Letiは、集積オプティクスとホログラフィの組み合わせをベースにし、AR用の新しい網膜投影コンセプトを開発した。このアプローチにより、ARでは光学系やコンバイナが不要になる。
デジタル画像を投影するTVsやスマートフォンなどは、あらゆる方向に光を放射する、擬似等方性光源のようである。画像が、方向性なく空間に広く投影されるので、多くの視聴者が同じ画像を見る。一般的なARグラスでは、光学系や光コンバイナを持つマイクロディスプレイによって画像が眼の近くに(強い指向性)伝達される。
これらのマイクロディスプレイは、小さなニアアイ画像を作り、それが光学系によって伝達され、短焦点距離であるにも関わらず、ユーザはそれを見ることができる。コンバイナは、そのデジタル画像を視聴者の実環境光景に重ね合わせる。
CEA-Letiのイノベーションは、ガラス面から眼にさまざまな光波を投影する透明な網膜投影デバイスである。画像は、光波の干渉によって網膜に形成される。すなわち、光学系、コンバイナが不要になる。空中を伝播する光は、それが網膜で正確に干渉するまでは、画像を形成することはない。
CEA-Letiは、Photinics West 2019で、論文“Integrated Optical Network Design for a Retinal Projection Concept Based on Single-Mode Si3N4 Waveguides at 532 nm”.を発表した。
プロジェクトは、集積Si3N4光コンポーネント、光回路λ = 532 nmの設計と数値シミュレーションであった。発光点アレイを造ることができる光集積回路の設計には基本的構成要素が必要だった。カイロ周辺に効率的に光を伝播させるためのシングルモード導波路から始めて、多くの他のコンポーネントを設計した。目的は、異なる場所で光を操作することである。光を抽出するコンポーネント、回折格子なども設計しシミュレートした。研究チームは、導波路屈曲部など、回路のさまざまな場所の損失を最小化しシステムのエネルギー効率を高めた。
CEA-Letiがデバイスを集積し、ホログラフィック層を利用していることで、コンパクトなARグラスが可能になり、視野角は既存システムよりも大きい。同時に、透明な網膜投影デバイスにより、周辺光はデバイスを透過し、強化版ARアプリケションが実現する。
「集積オプティクスとホログラフィの統合は、ディスプレイアプリケーションを開発する科学コミュニティにとって新たな研究領域である。また、それはイメージングシステムとしてよりも、データ転送システムとしての機能が強まるディスプレイ機器を想像する方法でもある」と論文の筆頭著者、Basile Meynardは説明している。
新しいアプローチは、商用段階に達するまでに、さらなる開発を必要としている。中長期的には、網膜投影コンセプトは、既存のARグラスと同様、よりコンパクトで高い仮想画像品質アプリケーションをサポートすると期待されている。
この研究プロジェクトは、ニアアイディスプレイに向けた、CEA-Letiの多年のマイクロディスプレイ開発に立脚している。例えばOLEDやLCDである。ごく最近では、無機LEDディスプレイ製造の分野で大きく前進した。
(詳細は、http://www.leti-cea.com)