February, 12, 2019, Malvern--南カリフォルニア大学(University of Southern California Viterbi School of Engineering)の研究チームは、自己修復する3Dプリントゴム材料を開発した。
准教授Qiming Wangは3Dプリント材料の分野に取り組んでおり、コネチカット大学の研究者とともに、新材料を開発した。これは、すばやくに製造でき、破砕されたり穴が空いたりすると、自己修復できる材料である。この材料は、靴、タイヤ、ソフトロボット、エレクトロニクスなどの産業にとって画期的である。製造時間を短縮し、同時に製品の耐久性と寿命を延ばすからである。
その材料は光重合を利用する3Dプリンティング法を用いて製造される。このプロセスは光を使って,液体レジンを所望の形状に固化させる。自己修復可能にするには、その材料の背後にある化学にもっと深く入り込む必要があった。
光重合は、チオールという化学材料との反応で達成される。酸化剤を均衡状態に加えることでチオールは別のグループ、二硫化物に変わる。壊れたときに修復能力があるのは二硫化物グループで、これが自己修復能力となる。これら2つのグループ間の適切な比率を見つけることが、その材料固有の特性を解き明かすカギであった。
「酸化剤を徐々に増やすと、自己修復作用が強くなるが、光重合作用は弱くなる。これら2つの作用間には競合がある。最終的に、高い自己修復と比較的急速な光重合の両方を可能にする比率を見いだした」とWangは説明している。
わずか5秒で、17.5㎜平方をプリントでき、20分程度でモノ全体が完了する。これは、わずか数時間で自己修復できる。NPG Asia Materialsに発表された研究で研究チームは、靴パッド、ソフトロボット、多相複合材料、電子センサを含む広範な製品で、その材料の能力を実証した。
半分に切断した後、60℃ではわずか2時間で完全に修復し、その強度と機能を維持した。修復時間は、温度を上げることで短縮可能である。
「40℃~60℃までの様々な温度で、材料がほぼ100%修復できることを実際に示している。温度を変えることで修復スピードを操作でき、室温でもその材料は自己修復可能である」と論文の筆頭著者、Yuは話している。