February, 6, 2019, 東京--玉川大学量子情報科学研究所の谷澤健准教授と二見史生教授は、Y-00光通信量子暗号(Y-00暗号)に、近年、商用の光伝送システムで用いられているデジタルコヒーレント方式を導入し、玉川学園キャンパス内に敷設された実験用光ファイバ回線(TAMA net #1)の伝送に成功した。
デジタルコヒーレント方式の導入により、高い通信品質を確保した安全な高速通信を実現した。成果の詳細は、国際会議「SPIE Photonics West 2019」の招待講演にて発表する。
研究成果
Y-00暗号に、現在の光伝送システムで用いられるデジタルコヒーレント方式を導入し、玉川学園キャンパス内に敷設された実験用光ファイバ回線(TAMA net #1)にて実証実験に成功した。TAMA net #1は屋外に敷設されており、実際の光ファイバ回線と同じような温度や振動などの環境変動があるため、Y-00暗号の通信品質を評価する重要な試験となる。10Gbpsの高速のデータ信号を、極めて大きな217(=131,072)値の異なる光位相をもつY-00暗号に変換し、TAMA net #1の一部である全長240kmの光ファイバ回線を伝送し、この暗号をデジタルコヒーレント方式により受信した。安定したコヒーレント光受信を実現する位相推定や光信号の歪補償等のためのデジタル信号処理に加えて、Y-00暗号の復号化処理をデジタル領域で実装し、高い通信品質を実現した。デジタルコヒーレント方式Y-00暗号では、通信速度や品質に代表される通信性能と量子雑音の効果に基づく安全性を高いレベルで両立することができる。また、今回の成果から、伝送可能距離は、暗号化を行わない既存の10Gbpsの光伝送システムに匹敵するということもわかり、今後さらなる長距離の伝送システムへの展開が期待できる。
(詳細は、https://www.u-presscenter.jp/2019/02/post-40915.html)