April, 18, 2014, Latham--MITとハーバード大学(Harvard University)の研究チームは、レーザを使って個々のルビジウム原子を光の格子表面近くに置くことによって、粒子を結合する新たな方法を開発した。これは強力な量子コンピューティングシステムの開発に役立つ可能性がある。
この技術により、研究者は孤立ルビジウム、金属の原子と光粒子とを結合することができるようになる。また原子とフォトンの両方が他方の粒子の量子状態を切り替えることができ、量子レベルのコンピューティング動作を行うメカニズムが実現可能になる。
さらに、研究チームはこの技術によって、小空間内に生ずる有用な相互作用の数が増え、量子コンピューティング処理量が拡大すると考えている。
「原子がフォトンの位相をスイッチできることを基本的に実証した。また、フォトンは原子の位相をスイッチできる」とMIT物理学部、エレクトロニクス研究所(RLE)、Vladan Vuletić教授は説明している。
言い換えると、フォトンは2つの偏光状態を持つことができる、さらに原子との相互作用はフォトンを1つの状態からもう1つの状態にスイッチできる。逆に言えば、フォトンとの相互作用は原子の位相を変えることができる、これは原子の量子状態を、その「基底」状態から「励起」状態に変えることに匹敵する。このようにして原子-フォトンの結合は、情報を伝達する量子スイッチとして働く、これは古典的なコンピューティングシステムにおけるトランジスタに等しい。同じ光領域内に多くの原子を置くことで量子情報をもっと効果的に処理できるネットワークを構築できる、と研究チームは考えている。
今回、研究チームはレーザを使ってルビジウム原子をフォトニック結晶キャビティの表面近傍に置いた。原子は、キャビティ端から光の波長以下、わずか100nm、200nmの位置に置かれた。そのような小さな距離では原子と光領域の表面との間に強い引力が生ずる、これを研究チームは原子をそこにトラップするために利用した。
同様の結果を生み出すための別の方法をこれまでに考案したことがあった、原子を光の中に落として原子をトラップする方法だ。しかし研究チームは、粒子に対する制御性は今回の方法の方が大きいことを見いだした。
成果は「ハイブリッド量子システム」と呼ばれており、個々の原子が微小デバイスと結合し、そこでは原子とフォトンを生産的方法でコントロールできる。研究チームは、新しいデバイスがフォトンを互いに分離する一種のルータとしても機能することを見いだした。研究成果は、Nature誌に発表されている。