January, 25, 2019, 沖縄--沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究者らは、将来有望な太陽電池技術として知られているペロブスカイト太陽電池(PSC)の根本的弱点を解決した。今回の技術革新により、デバイスの安定性と拡張性が一気に向上したことで、PSC市場導入の鍵となる可能性がある。
この第三世代の太陽電池は、太陽光を使用可能な電気に効率的に変換し、従来のシリコン型太陽電池よりも製造コストが少なく済む。特にPSCは、その低コストと、高い変換効率により、学術界と産業界の注目を集めている。ただしPSCの性能は、実験室での試験においては前途有望だが、発電装置は依然として低い安定性が悩みの種であり、ある程度の耐久性を持つようになるまで、商業的に製造することは不可能である。
Advanced Functional Materialsのオンライン版に掲載された研究成果は、PSCで一般的に使用される二酸化チタンと呼ばれる材料が、装置を劣化させ、耐久性を制限している、というこれまでの報告を裏付けている。研究チームは、劣化しやすい特性がなく、より強固な導体である二酸化スズを、二酸化チタンの代わりに置き換えた。安定性があり、効率的かつ拡張可能なPSCを作製するため、二酸化スズの使用法も最適化した。
実験において研究者らは、二酸化スズの装置は、二酸化チタンを使用したPSC装置よりも、3倍以上寿命が伸びることがわかった。
改良されたデザイン
PSCはそれぞれが特定の機能を持つ層状の材料で構成されている。ペロブスカイト材料から作られた「活性層」は、光子と呼ばれる粒子状の太陽光を吸収する。光子が太陽電池に衝突すると、負に帯電した電子と正に帯電した正孔が活性層に生成される。研究チームは、二つの「輸送材料」の間に活性層を挟むことにより、電子と正孔の流れを制御している。
研究チームは、スパッタリング蒸着法を用い、二酸化スズの層側から効果的な電子輸送層を作製する方法を編み出した。ここで言うスパッタリング蒸着は、二酸化スズをターゲットとする面に対して荷電粒子を衝突させることにより、待ち受けている側の面に上方噴霧させることで機能させる。スパッタリング蒸着の強度と堆積速度を正確に制御することによって、一定の面積においても均一な厚さを有する滑らかな層を作製した。
この新しい太陽電池は20%以上のエネルギー変換効率を達成した。 次に、拡張性を実証するために、22.8平方cmの実働面積を持つ5cm四方のソーラーモジュールを作製し、12%以上の効率が達成された。OISTの技術開発イノベーションセンター(TDIC)の概念実証(POC)プログラムの一環となるこの研究は、PSC効率に関する現在の業界基準を満たした重要な前進と言える。
(詳細は、https://www.oist.jp)