April, 17, 2014, Utrecht--ユトレヒト大学と物質基礎研究財団(FOM) の化学者は、1つの色から別の色への変換に関わる基本的な問題についての議論に決着をつけた。このプロセスの効率に影響をあたえる方法は、例えば変換が起こる材料の周辺の屈折率を変えることでできることを示した。これは様々なアプリケーションに関連しており、電球や太陽パネルからバイオイメージングまでと幅広い。
発光粒子の中には簡単にある光の色、UV光や赤外光を吸収するものがある。粒子はこのエネルギーを隣り合った粒子に移転し、それによってこの光を別の光に変換、さらに所望の色に変換する。これは、例えば蛍光管で起こる。研究チームが取り組んだ基本的な問題は、発光粒子間のエネルギー移転の効率が環境のフォトニック特性、屈折率などの影響を受けるかどうかと言う問題であった。
ユトレヒト大学の化学教授、Andries Meijerink氏、FOMのPhD候補、Freddy Rabouw氏は、この基本的な問題で以前の研究において他の研究者が副作用に十分な注意を払っていなかったのではないかと考えている。したがって両氏は、研究のために厳しくコントロールされたシステムを設計した。
作ったのは、希土類のセルビウムとテルビウムを含むナノクリスタル。この結晶を使うことで、セルビウムとテルビウム原子の間の距離が既知であり固定的であることを保証することができた。セルビウムは簡単にUV光を吸収でき、それを再放出するか、エネルギーの形でテルビウムに移すかのいずれかができる。エネルギーが移動すると、テルビウムはそれを緑の光で放出する。
ナノクリスタルは、様々な屈折率の透明溶剤に溶けた。これによって環境のフォトニック特性はわずかに違ったが、コントロールされていた。研究チームは、この系がいかに速く、いかに効率的にUV光を緑光に変換するかを観察した。
研究チームはすでに、粒子からの発光が環境のフォトニック特性に依存することを立証していた。これは実験中に確認されており、屈折率が低ければ低いほどUV光の放出は少なくなり、ますます多くのUV光が緑光に変換された。
重要なステップ、セルビウムからテルビウムへのエネルギーの移転は、各溶液で同じ率で起こるようだった。「これは、これまで観察されなかったことだ。このことの意味は、2つの発光粒子間のエネルギー移転効率は環境のフォトニック特性の影響を受けないということである。また、見えないUV光あるいは赤外光が可視光に変換されるような、あらゆる種類のアプリケーション開発には、これは重要な情報になる」とAndries Meijerink教授は説明している。
そのようなアプリケーションの中には、気持ちのよい色の光を発する、新しい効率的な光源もあるが、太陽光パネルや医療スキャンもある。「太陽光パネルは太陽の赤外光の主要部を吸収できない。われわれが獲得した知識で、われわれは太陽光の赤外部分を効率的にエネルギーに変換できるシステムを開発できる。医療診断装置での応用としては、身体の背景雑音とは違う色で発光するナノ粒子を探している。そのようなナノ粒子は、身体の中で起こっていることを見るためにモニタされる」とFreddy Rabouw氏は説明している。
(詳細は、www.uu.nl)