January, 17, 2019, Sunnyvale--ハーバード・工学/応用科学スクール(SEAS)の研究者は、新しい集積フォトニクスプラットフォームを開発した。これは、光を蓄積し、IC内でその周波数(色)を電気的にコントロールできる。
プラットフォームは、原子系からヒントを得ており、アプリケーションの幅は広く、フォトニック量子情報処理、光信号処理、マイクロ波フォトニクスなど。
「チップ上でプログラマブルに光周波数を変えるためにマイクロ波を使うのはこれが初めてである。多くの量子フォトニックおよび古典的なオプティクスアプリケーションは、光周波数シフトを必要とするが、これは難しかった。われわれは、制御可能な方式で周波数を変えるだけでなく、この新しい機能を使って、光を蓄積し、オンデマンドで読み出せることを示した、これは以前にはできなかったことである」と、前SEAS応用物理ポスドクフェロー、ハーバードからのスタートアップ、HyperLight社CEO、Mian Zhangは説明している。
研究成果は、Nature Photonicsに発表されている。
マイクロ波信号は、ワイヤレス通信では至る所に存在するが、フォトンと相互作用するには弱すぎると研究者は考えた。これは、電気工学、Tiantsai Lin教授、Marko Loncarが指導するSEAS研究チームが、強い電気光学(EO)特性を持つ材料、リチウムナイオベート(LN)を使って高性能光マイクロ構造を作製する技術を開発する前のことであった。
研究チームは、以前に、リチウムナイオベートナノ導波路で、光を極めて低損失伝搬でき、オンチップLN変調器で光強度を制御できることを実証した。最新の研究では、これらの技術を統合してさらに開発を進め、分子状のシステムを作製し、この新しいプラットフォームを使ってチップ上で光の周波数と位相を精密制御した。
「低光損失と強い電気光学(EO)非線形性を持つ、LNのこの固有の特性により、われわれはプログラマブルEOシステムで光の動的制御ができる。これは、光とマイクロ波信号処理のためのプログラマブルフィルタの開発につながり、電波天文学、レーダ技術などにアプリケーションが考えられる」と香港市城大学准教授、Cheng Wangは話している。
研究チームによると、次の目標は、同じアーキテクチャを利用して、さらに低損失の光導波路とマイクロ波回路の開発である。このアーキテクチャは、さらなる高効率を可能にし、究極的には、マイクロ波と光フォトンの量子的リンクを実現する。
「マイクロ波と光フォトンのエネルギーは、5桁の差があるが、われわれのシステムは、一度に1フォトンで、このギャップをほぼ100%の効率でブリッジする。これにより、量子クラウドの実現が可能になる。安全な光通信チャネルで接続された分散量子コンピュータネットワークである」とLoncarは話している。