January, 17, 2019, 東京--東京大学大学院理学系研究科化学専攻の大越慎一教授、同物理学専攻の宮下精二教授、大阪大学レーザー科学研究所の中嶋誠准教授らの共同研究グループは、イプシロン酸化鉄および金属置換型イプシロン酸化鉄からなる磁性フィルムにおいて、ナノ秒可視光レーザ誘起の磁化反転と、テラヘルツ(THz)パルスレーザ照射による超高速磁気光学効果の観測に成功した。
ナノ秒可視光レーザを磁性フィルムに照射するとファラデー効果の符号がスイッチングし、光アシスト磁化反転が起こることが観測された。また、磁性フィルムにパルスTHz光を照射すると、ファラデー回転が400フェムト秒(fs)という極めて短い時間で起こることが分かった。これらの超高速磁気光学効果の時間ダイナミクスは、理論的にもデモンストレーションされている。これらのイプシロン酸化鉄磁性ナノ材料は、高密度磁気記録媒体または高速動作回路磁気デバイスに貢献することが期待される。
研究成果は、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載される。
発表の要点
・光アシスト磁化反転に伴うファラデー回転現象と、フェムト秒テラヘルツパルス光に同期して瞬時に磁化が応答する超高速現象をファラデー回転で観測した。
・イプシロン酸化鉄フェライトにおける光アシスト磁化反転の観測は初めてです。また、磁化のテラヘルツ光への応答は400fsという例がない極めて短い時間に起こっていた。
・磁気媒体の記録密度を引き上げる新しい書き込み方式や、テラヘルツ光利用による低負荷超高速演算子デバイスの開発につながると期待される。
(詳細は、http://www.s.u-tokyo.ac.jp/)