January, 11, 2019, Washington--オックスフォード、エクセター、ミュンスター大学の研究者が、オールオプティカルデータストレージ新技術をOpticaに発表した。
研究チームは、チップ上の以前可能だったよりも小さなスペースに、より多くの光データを蓄積できる新技術を実証した。この技術は、相変化光メモリセルを改善するものである。光を使ってデータの書き込み、読出しができ、コンピュータメモリをより高速、省エネにする。
今日のコンピュータのように、1または0の2つの状態の1つに電気信号を使ってデータを蓄積するのではなく、光メモリセルは光を使って情報を蓄積する。研究チームは、32以上の状態、レベルの光メモリを実証した。これは5bits相当である。また、これはオールオプティカルコンピュータへの重要な一歩である。
オックスフォードの研究チームリーダー、Harish Bhaskaranは、「光ファイバは光でエンコードしたデータを家庭やオフィスに届けるが、情報は、コンピュータ内部では電気信号に変換される。コンピュータを走らすサーキットボードに光ベースのデータ伝送速度を与えることにより、われわれのオールオプティカルメモリは、光と電気の両方のデータで相互作用するハイブリッドコンピュータチップを可能にする」とコメントしている。
光メモリセルは、光を使って相変化物質に情報をエンコードする。これは、再書き込み可能なCDsやDVDsを作るために使用される物質である。レーザが、相変化物質の一部を加熱すると、全ての原子が秩序状態または無秩序状態となり、その状態が切り替わる。これら2つの状態は、異なる光屈折率を示すので、データは光を使って読み出すことができる。
相変化物質は、データを長期間保存できる。最初にデータの書き込みに利用された特殊なレーザ光で再び照射されるまで、無秩序状態または秩序状態にとどまっているからである。物質のあるエリアに秩序と無秩序状態を多様な比率で混在させることで、情報は、単なる0と1ではなく、連続的なレベルで蓄積することができる。
研究チームのメンバー、Nathan Youngbloodによると、この方法を用いて、34レベルで情報を蓄積することができた。
研究チームは、新しい技術を利用して分解能を高めることに成功した。これは、シングル、ダブルステップパルス(方形状パルスに2つのパルスを入れている)を使い、物質の溶融と結晶化を正確に制御する技術である。
「単一レーザパルスで物質を加熱する代わりに、時間経過とともに物質の温度を制御するようにパルスを成形する。これにより、物質の光との相互作用の仕方、加熱後にそれが到達する状態を調整できる。また書き込みも大幅にスピードアップする。以前必要とされていた数百、数千の代わりに1レーザパルスで物質の状態を変えられるからである」と論文の筆頭著者、Xuan Liは説明している。
論文では、研究チームは、そのアプローチを使って34レベルでデータをエンコードできることを示した。これは、5bitプログラミングに必要な32レベルを上回る。「この成功には、光と物質の相互作用を完全に理解し、各レベルを達成するために必要な最適レーザパルスを送り込むことが必要だった。われわれは、極めて困難な問題を解決した」とBhaskaranは話している。
その新技術は、今日のコンピュータのスピードを制限しているボトルネックの一つを克服するために役立つ。つまりプロセッサとメモリのリンクである。「ファイバオプティクスを使って、これら2つのユニット間の伝達改善に多くの研究が行われてきた。しかし、これらの結合は、両端で、まだ高価な電気-光変換を必要としている。われわれのメモリセルをハイブリッド光-電気セットアップで使うことで、データを光で蓄積し、読み出すことができ、メモリ側の変換は不要になる」と同氏は説明している。
研究チームは、次に、マルチメモリセルを統合し、それらを個別にプログラムすることを考えている。これは、コンピュータに使えるメモリチップ実現に必要とされているものである。