Science/Research 詳細

ライス大学、完全2D回路を滑面に転写する方法を開発

January, 9, 2019, Houston--モノのセンシングをするセンサが、そのモノの一部だったらどうか。ライス大学(Rice University)のエンジニアは、正にそれを実現する2Dソリューションがあると考えている。
 ライス大学の材料科学研究者、Pulickel AjayanとJunLouは、原子並みにフラットなセンサを作る方法を開発した。これは、シームレスにデバイスに統合して、検出情報をレポートする。
 電子的にアクティブな2D材料は、2004年にグラフェンが紹介されて以来、大きな研究テーマとなっている。その力が、よく持てはやされることがあっても、壊れることなく、それらが必要とされているところへ移行させるのは簡単ではない。
 研究チームは、Jacob Robinsonラボとともに、その材料と電極を含む関連する回路を維持する新たな方法を実現しており、それらを湾曲あるいは他の滑らかな表面に移動しても完全なままである。
 研究成果は、ACS Nanoに発表された。
 
研究チームは、金電極を持つ10nm厚のインジウムセレナイドフォトディテクタを作製し、それを光ファイバに取り付けることで、その概念をテストした。それは非常に密着しているので、近接場センサがエバネセント場と効果的に結合し、内部の情報の流れを正確に検出した。エバネセント場とは、ファイバ表面の共鳴電磁波である。
 これらのセンサが、そのようなファイバに埋込可能となり、重量を増やすことなく、信号の流れを妨げることなく、パフォーマンスをモニタできることは利点になる。
 「この論文は、2Dデバイスを実際のアプリケーションに適用できる興味深い可能性をいくつか提案している。例えば、海底の光ファイバは、数千マイル長であり、障害があると、それがどこで起こったかを知るのは難しい。これらのセンサが様々な箇所にあると、ファイバの障害を検出することができる」とJun Louは言う。

Louによると、ラボでは増え続ける2D材料リストを一つの表面から他へ転送したが、電極や他のコンポーネントの追加は、プロセスを複雑にする。「トランジスタを考えてみると、それにはソース、ドレイン、ゲート電極および上部に誘電体(インシュレータ)があり、これらの全てが完全なまま転送されなければならない。それらの材料はすべて皆違うので、それは非常に難しい」。
 生の2D材料は、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)とともに動かされることがよくあり、ライスの研究チームは、その技術を利用する。しかし、移動中にその回路を完全なままに維持するだけでなく、デバイスをそのターゲットに取り付ける前に除去できるロバストなボトム層を必要とした(回路がその目標に到達するとPMMAも除去される)。

理想的なソリューションは、ポリジメチルグルタルイミド(PMGI)だった。これは、デバイス製造プラットフォームとして利用でき、ターゲットに転送される前に簡単にエッチングで除去できる。Louによると、この犠牲層の開発にかなりの時間を要した。PMGIは、どんな2D材料にも有効であるようだ。研究チームは、二セレン化モリブデン、他の材料でも実験に成功している。
 ライス大学のラボは、これまでパッシブセンサを開発しただけであったが、研究チームは、この技術が,通信、バイオセンシング、プラズモニクスおよび他のアプリケーション向けにアクティブセンサ、デバイスを可能にするものであると考えている。
(詳細は、http://news.rice.edu)