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通常の超高速光より100倍速いNISTの電気-光学レーザパルス

December, 7, 2018, Gaithersburg--NISTの物理学者は、標準エレクトロニクスを使って、これまでの超高速レーザよりも100倍のパルスを放出するレーザを構築した。この進歩は、超高速科学を生体材料のリアルタイムイメージングなどの新たなアプリケーションへ拡大することになる。
 電気-光学レーザを造る技術は50年近い歴史があり、アイデアは魅力的にシンプルに見える。しかしこれまで研究者は、電子的に光をスイッチし超高速パルスを作ることができなかった。また、電子ノイズ、つまり干渉を除去することができなかった。
 Scienceに発表された論文でNISTの研究チームは、熱誘導干渉を低減するフィルタリング法を開発したと報告している。この干渉が低減されなければ、電子的に同期された光の一貫性は破壊することになる。
「われわれは、アルミ缶で光を管理した」プロジェクトリーダー、Scott Pappは言う。電子信号が安定化されフィルタリングされる「キャビティ」について述べている。信号が、ジュースの缶のようなものの内部で前後に跳びはねると、最強周波数の固定波が現れ、他の周波数をブロック、つまりフィルタリングアウトする。
 超高速とは、ピコ秒からフェムト秒幅の事象のことである。これはナノスケール領域よりも高速である。
 従来の超高速光源は、光周波数コム、光の精密な「定規」である。コムは、通常は精緻な「モードロック」レーザで作られ、オーバーラップする多くの異なる光波からパルスを形成し、光周波数とマイクロ波周波数をリンクさせる。光とマイクロ波信号の相互作用が、通信、タイムキーピング、量子センシングシステムの最新の進歩を促進する。

一方、NISTの新しい電気光学レーザは、光周波数で動作する連続波レーザにマイクロ波電子振動をかけ、効果的にパルスを光に刻み込む。
「どんな超高速レーザでも、個々のパルスは、例えば20fs続く。モードロックレーザでは、パルスは10ns毎に出てくる。われわれの電気光学レーザでは、パルスは100psごとに出てくる。したがって、ここではスピードアップであり、100倍程度速く来る超高速パルスである」と筆頭著者、David Carlsonは説明している。
「化学および生体イメージングは、このタイプのレーザのアプリケーションの好例である。超高速レーザで生体サンプルをプローブすると、イメージングと化学組成情報の両方が得られる。われわれの技術を使うと、この種のイメージングが、飛躍的に高速に起こる。したがって、1分かかるハイパースペクトルイメージングは、リアルタイムになる」とPappは言う。
 電気光学レーザを造るためにNISTの研究チームは、赤外連続波レーザから出発し、キャビティで安定化された振動でパルスを作る。これは、全てのパルスが同じであることを保証するメモリと同等である。レーザは、マイクロ波レートで光パルスを作る、各パルスはマイクロチップ導波路構造に送られ、周波数コムでより多くの色を生成する。
 電気光学レーザは、モードロックレーザに匹敵する精度と安定性を統合した、前例のないスピードを示す。レーザは、商用の通信コンポーネント、マイクロ波コンポーネントを用いて構築されており、システムは非常に高信頼である。信頼性と精度の組み合わせにより、電気光学コムは、現在可能なよりも高速にデータを取得する必要がある光クロックネットワーク、通信、センサシステムの長期計測に魅力的である。
(詳細は、https://www.nist.gov)