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結晶欠陥により標準の通信用光ファイバで量子通信が可能になる

December, 6, 2018, Groningen--フローニンゲン大学(University of Groningen)ゼルニケ先端材料研究所の国際研究チームは、量子ビットを生成する方法を確認した。量子ビット(qubits)は、通信プロバイダが使う波長に近い波長で、その状態を記述するフォトンを出力する。これらのqubitsは、モリブデン不純物がカラーセンタを作り出すシリコンカーバイドをベースにしている。研究成果は、Quantum Informationに発表された。
 重ね合わせやエンタングルメントなどの現象を使うことで量子コンピューティングや量子通信は、有望なコンピューティングパワー、盗聴不可能な暗号になる。これらの量子現象の光ファイバ伝送成功は、いくつか報告されているが、これは現在世界中でデータ通信に使用されている標準ファイバに適合しない波長が一般的である。
 オランダのフローニンゲン大学の物理学者は、リンショーピング大学(Linköping University)、半導体会社Norstel ABのチームとともに、波長1100nmで情報を伝送するqubitsの創出を発表した。さらに、関連のメカニズムは、データ伝送で使われている(1300nm、1500nm)に近い波長にチューニングできそうである。
 論文の筆頭著者、Tom Bosma氏によると、研究は、シリコンカーバイド結晶の欠陥から始まった。「シリコンカーバイドは半導体で、結晶特性に影響する不純物を阻止する研究が行われてきた。その結果、不純物と、その結晶への影響に関して膨大な文献がある。しかしこれら不純物は、正に研究チームが必要としているものである。不純物は、いわゆるカラーセンタを形成し、これらが特殊波長の光に反応する」。

 レーザを利用して、これらカラーセンタに適切なエネルギーを照射すると、シリコンカーバイド結晶のモリブデン原子の外殻電子が、より高いエネルギー準位に上がる。それらが基底状態に戻るとき、余分な光をフォトンとして放出する。モリブデン不純物では、これらが赤外フォトンとなり、波長はデータ通信で利用されている波長に近い、とBosma氏は説明している。
 この材料は、qubits生成のための出発点であった。「われわれは、いわゆる量子干渉効果(CPT)を使ってカラーセンタに重ね合わせを作った。これは、量子力学現象、電子のスピン特性の利用をともなうものである。これは、上下に制御でき、磁気モメントを電子に与える。これによって0または1のスピン状態を示すqubitを作る。

「磁界を加えると、スピンは、磁界に対して平行または反平行のいずれかに整列する。結果的に、スピンアップまたはスピンダウンの電子の基底状態がわずかに異なっている」(Gilardoni氏)。レーザ光を使って電子を励起すると、電子は、その後、2つの基底状態の一つに戻る。研究チームは、それぞれチューニングして、電子が基底状態の一つから同じ励起準位に移行するようにし、両方のスピン状態の重ね合わせがカラーセンタに発展するようにした。
「微細調整の後、われわれは高速スイッチングと結びついた長寿命重ね合わせを作り出すことができた」(Bosma氏)。さらに、qubitは量子状態に情報を持つフォトンを赤外波長で放出した。シリコンカーバイド結晶にカラーセンタを作れる不純物の膨大な文献を考慮すると、この波長を標準光ファイバで使われるレベルにすることは可能であると考えている。もしこれが実現できて、さらに安定した重ね合わせが作れるなら、量子インターネットは現実にさらに一層近くなる。