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AIベース法で特殊ナノ粒子開発をスピードアップ

December, 6, 2018, Cambridge--MIT物理学者が開発した新技術が、所望の特性を持つ多層ナノ粒子をカスタムデザインする日がいずれ来る。潜在的用途は、ディスプレイ、クローキングシステムあるい生体医用デバイス。様々な困難な問題に取り組んでいる物理学者にとっても役立つ、場合によっては、既存方法よりも数桁高速化されるからである。
 そのイノベーションは、人工知能(AI)の一形態、コンピュータ・ニューラルネットワークスを使い、数千のトレーニング例に基づいて、ナノ粒子の構造が、その反応にどのように影響するかを「学習」する。続いて、その関係を学ぶと、プログラムは、次に後戻りして、所望の光散乱特性を持つ粒子を設計する、いわゆるリバースデザイン(逆設計)である。
 研究成果は、Science Advancesに発表されている。

物理学教授、Marin Soljačić氏によると、そのアプローチは究極的に実用的なアプリケーションに行き着くが、最初は一般に、そのような問題に取り組むために使用される、コンピュータの集中的なシミュレーションなしで、様々なナノエンジニアド材料の物理的特性を予測する方法としての、科学的関心である。
 同教授によると、目標はニューラルネットワークを見ることだった。これは近年、大きく進歩し、盛り上がりを見せた分野であり、「われわれの物理学研究で役立てるために、そのような技術に使えるところがあるかどうか」を調べることである。「したがって、基本的には、われわれがある物理系を理解し、取り組みに役立てる、よりインテリジェントなタスクをするために、十分なコンピュータ・インテリジェントがあるかどうか」を見るためである。
 その考えをテストするために、比較的シンプルなシステムを使った。「どの技術が適切であるかを理解し、限界を理解し、それらのベストな使い方を理解するために、球状同心円をなすナノ粒子、ナノフォトニクスの一つの特殊径にニューラルネットワークを使った」。ナノ粒子は、タマネギのように層構造であるが、各層は異なる材料でできており,異なる厚さである。
 そのナノ粒子は、可視光あるいそれより短波長に匹敵するサイズであり、これらの粒子から異なる色の光が散乱して出てくる仕方は、これらの層の細部に依存する、また入力ビームの波長に依存する。多くの層をもつナノ粒子へのこれらの効果の全てを計算することは、多層ナノ粒子で集中的な計算作業となり、層数が多くなるにつれて複雑さが悪化する。
 研究チームは、新しい粒子が光波長を散乱させる方法をニューラルネットワークが予測できるかどうかを知りたかった。既知の例を相互作用させるだけでなく、ニューラルネットワークを補完できる仮想パタンを実際に見つけ出すことによって予測できるかどうかを知りたかった。
「シミュレーションは、非常に正確で、これらを実験と比較すると、それらはすべて一点一点再生できる。しかし、それらは数値的に非常に集中的であり、非常に時間がかかる。ここで知りたいことは、これらの粒子の、非常に多くの粒子のかなりの数の例をニューラルネットワークに示せるかどうか、ニューラルネットワークがそれに対する直感を開発できるかどうかである」。

思った通りである。ニューラルネットワークは、波長に対して、光散乱の正確なグラフパタンを十分合理的に予測することができた。完全ではないが、非常に近い、また時間は遙かに短い。ニューラルネットワークシミュレーションは、「今では精密シミュレーションよりも遙かに高速である。したがって、実際のシミュレーションの代わりにニューラルネットワークを使うことができる。また、極めて正確な予測が得られる。とは言え、代償も大きい、代償は、われわれが最初にニューラルネットワークを訓練しなければならないことだった。それをするために膨大な数の例を創らなければならなかった」とJing氏は説明している。
 一度、そのネットワークが訓練されると、どんな未来のシミュレーションでもその高速性から十分な恩恵が得られるので、反復シミュレーションを必要とする状況には有用なツールになる。しかし、プロジェクトの実際の目標は、方法論について学ぶことであり、この特殊なアプリケーションではなかった。われわれがこの特殊なシステムに興味を持った大きな理由の一つは、単にナノ粒子をシミュレートするというのではなく、これらの技術をわれわれが理解することであった」とSoljačić氏は話している。
 次のステップは、基本的にそのプログラムを逆に走らせて、一連の所望の散乱特性を出発点として使用し、ニューラルネットワークが、その出力結果を達成するために必要なナノ粒子層の正確な組合せをはじき出せるかどうかを見ることである。
「工学では、多くの多様な技術が逆設計のために開発されてきた、それは膨大な研究分野である。しかし、所定の逆設計問題を設定するためには、科なりの時間がかかることがあり、多くの場合、その分野の専門家になって、その解決のために何ヶ月も費やさなければならない」とSoljačić氏は言う。
 しかし、研究チームの学習済みのニューラルネットワークでは、「われわれは、このために特別な準備は不用だった。ただ逆に走らせるだけだ。他の標準的な逆設計法と比較すると、これはベストの方法の一つである。実際、従来の逆設計よりも遙かに高速である」と同氏は話している。

(詳細は、www.mit.edu)