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北大と北京大、ナノ空間に光を2倍長い時間閉じ込める手法を開発

November, 28, 2018, 札幌--北海道大学電子科学研究所の三澤弘明教授らの研究グループは、中国の北京大学と共同で、厚さ 25nmの酸化アルミニウム(アルミナ)を、金ナノ微粒子の周期構造と厚さ20nmの金フィルムでサンドイッチしたナノ構造により、光を金ナノ微粒子に2倍長い時間閉じ込めることに初めて成功した。
 光が金ナノ微粒子に当たると、微粒子表面の電子が光と共鳴して集団で振動する局在プラズモンという現象が生ずる。これまで、金ナノ微粒子の近くに分子が存在すると、局在プラズモンにより分子の発光やラマン散乱(物質にあたると光の波長が変わる現象)が強くなることがわかっており、分子の高感度な検出法として利用されてきた。これは、電子の振動により新たな光(近接場)が微粒子表面に発生し、光がナノ空間に閉じ込められることと、電子の振動がしばらく続くため近接場が長い間維持され(=時間的な閉じ込め)、時・空間的に閉じ込められた近接場と分子が強く相互作用することが要因。さらなる高感度化を目指し、より小さなナノ空間に近接場を閉じ込める研究が行われてきたが、近接場を時間的に閉じ込めることは難しく、これまで報告がなかった。
 研究グループは、金ナノ微粒子の周期構造の上方から光を当てることで、周期構造によって照射方向の垂直方向へ進む回折光を生じさせた。これにより、厚さ数10nmの金フィルム表面上を電子の集団振動が伝搬する伝搬型プラズモンが発生し、これと金ナノ微粒子の局在プラズモンとが強く相互作用した新しい状態、「強結合状態」を創ることに成功。伝搬型では局在型に比べより長い時間近接場が存在するため、強結合状態では金ナノ微粒子に近接場を長時間閉じ込めることが可能になり、閉じ込め時間を約2倍とする新たな機能発現に成功した。この研究成果は、より高感度なバイオセンサへの応用や、光エネルギー変換などへの発展が期待される。
 研究成果は、Nature Communicationsに掲載された。
(詳細は、https://www.hokudai.ac.jp)