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Caltech研究者、「折り畳み」光デバイスで光を操作

November, 9, 2018, Pasadena--Caltechの工学、応用科学部の応用物理学教授、Andrei Faraonによると、次世代の電子デバイス、パーソナルヘルスモニタやARヘッドセットから高感度科学測定器まで、研究室にしか存在しないものは、メタサーフェスオプティクスを利用するコンポーネントを組み込むことになる。
 メタサーフェスオプティクスは、レンズが、屈折、集光、反射させるのと同じように光を操作するが、注意深く設計された、さもなければ平坦面の微細構造を使い、極めて高い制御性で光を操作する。つまり、メタサーフェスにより、コンパクトで精密チューニングができる、魅力的な品質の電子デバイスが実現する。しかし、それを普及させるには、克服すべき課題がいくつかある。
 ほとんどの光学系は、正しく機能するために必要なメタサーフェスは1個以上である。メタサーフェスベースの光学系では、デバイス内のほとんどの容積はフリースペースであり、その中で異なる素子間を光が伝播する。このフリースペースが必要となるため、デバイスの縮小が難しい、またメタサーフェスを単一のデバイスに統合、配列すると複雑に、高価になる。
 この限界を克服するために、Faraonグループは、「折り畳みメタサーフェスオプティクス」という技術を導入した。これは、多種メタサーフェスをガラスのような基板サイドのいずれかにプリントする方法である。この方法で、基板自体が、光にとって伝播空間になる。概念実証としてチームは、その技術を使って分光計を作製した。分光計は、光を異なる波長(色)に分け、また対応する強度を計測する(分光計はさまざまな分野で使用されており、例えば天文学では、星が放出する光に基づいて星の化学成分を判断するために使用される)。研究チームが作製した分光計は、1㎜厚、相互に並べて設置した3つの反射性メタサーフェスで構成されている。これは、光を分け、反射し、最終的にディテクタアレイに集光する。研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
 研究グループが開発したようなコンパクトな分光計にはさまざまな用途がある。非侵襲的血糖値計測システムなど。これは糖尿病患者にとってはすこぶる有益である。プラットフォームは、1ステップで製造された多数のメタサーフェス素子を使うので、一般に、複雑であるが安価な光学システムとなる可能性がある。