April, 14, 2014, Berwyn--DNA鎖の半分の幅のナノ構造によってLEDの効率が向上する。特に「グリーンギャップ」と言われているLEDの効率が落ち込む箇所の効率が向上することが、米国エネルギー省(DOE)国立エネルギー研究科学コンピューティングセンタ(NERSC)のシミュレーションによって明らかになった。
NERSCのCray XC30スーパーコンピュータ「エジソン」を用いてミシガン大学のDylan Bayerl氏とEmmanouil Kioupakis氏は、赤外光を発光する半導体InNが、1nm幅の線に狭めると緑の光を発光することを示した。さらに、そのサイズを変えるだけで、これらのナノ構造は異なる光を発光するように調整できる。このことは、現在のLEDに見られるハイパワーにおける効率損失を避けながら、より自然に見える白色光が発光できるようになることを示している。「われわれの研究成果は、数ナノメートサイズの窒化インジウムが、効率、可視光発光を、波長を調整して設計する有望なアプローチを提供するものである」とKioupakis氏はコメントしている。
今日のLEDは多層マイクロチップとして作製される。外側の層には、1つの層に十分な電子が生まれ、他の層には電子がほとんどなくなるような元素がドープされている。電子のないところはホールと言う。チップにエネルギーを注入すると、電子とホールは押されて中間の量子井戸層に閉じ込められ、そこで結合してフォトンを放出することで余分なエネルギーを捨てる。
ローパワーでは、窒化ベースのLED(白色光で最も一般的に使われている)は非常に効率的であり、エネルギーのほとんどを光に換える。しかし部屋を明るくできるレベルまでパワーを上げると効率が低下する、光に変換される電気が少なくなる。この効果は特に緑のLEDで目立っており、「グリーンギャップ」という言葉ができている。
Kioupakis氏によると、材料の大きさを、それを作っている原子程度の幅に縮小すると量子を閉じ込めることができる。電子が狭い空間に押し込められ、バンドギャップエネルギーが増す。電子とホールが結合されたときに放出されるフォトンのエネルギーが増え、光の波長が短くなる。
LEDの電子とホール間のエネルギー差、つまりバンドギャップが放出される光の波長を決める。バンドギャップが広ければ広いほど、光の波長は短くなる。バルクInNのバンドギャップは非常に狭く、0.6eVしかないので、出力光は赤外光になる。研究チームが行ったInNナノ構造のシミュレーションでは、計算したバンドギャップが増え、2.3eVのエネルギーで緑色の光が出力されると予測した。
「このワイヤの中で電子をナノメートルまで押し込めることで緑色発光が得られるなら、ワイヤの幅を調整することで他の色も発光できる」(Kioupakis氏)。ワイヤを広げると黄色、オレンジ、赤が得られ、狭くすると青、紫が得られる。
LEDからより自然に見える光を作るための前兆となる。赤、緑、青のLEDを混ぜ合わせることで、エンジニアは白色光を調整して暖色にも、もっと気持ちのよい色にもできる。この「直接的な」方法は、現状では実用になっていない。緑のLEDが青や赤ほど効率がよくないからだ。その代わりに、今日のほとんどの白色光は青色LEDの光をリンを通すことで実現している。これは蛍光照明と同様のソリューションであり、あまり効率的ではない。ダイレクトLED光ができれば、効率が向上するだけでなく、出力される光の色は、1日の時刻や仕事に適するように手動で動的に調整できるようになる。
ピュアInNを使うのは、緑LEDの非効率に寄与する要素を除去するため。LED作製にナノワイヤを用いるのは、格子不整合を除去するため。
(詳細は、cs.lbl.gov)