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モバイルフォン用の量子暗号スキームを開発

April, 11, 2014, Sydney--ブリストル大学(University of Bristol)の量子フォトニクスセンター(CQP)はノキア(Nokia)と協力して、量子鍵配信(QKD)を使う量子暗号を将来モバイル機器に入れる超高セキュリティ構想を計画し、実証した。
 安全なモバイル通信は、現代社会を支えるものであり、現代人は、携帯電話、タブレットやラップトップを通してオンラインコンシューマになっている。モバイル商取引の安全性はほとんどの人にとってはっきりとしないものであるが、悪意のあるオンライン攻撃、詐欺、窃盗から保護されるには、絶対的に重要である。
 現在利用できる量子暗号技術は大きく、高価で、固定的物理位置、銀行のサーバ室などに限定されている。ブリストル大学の研究チームは、クライアントが光チップをモバイル端末に集積するだけですむようにするには、この大きくて高価なリソースをどうすれば縮小できるかを示した。
 この構想は、CQP研究フェロー、Dr. Anthony Laingの研究チームが開発したブレイクスループロトコルに依存している。これによって、不安定な環境でも量子情報をしっかりと交換できるようになる。
 「最近プライバシーや情報セキュリティに強い関心が向けられるようになっており、人々はソリューションとして量子暗号に目を向け始めている。その安全性が物理法則によって保証されているからだ。われわれの成果は、量子暗号が大企業に限定される必要はなく、一般大衆が使えるようになることを示している。次のステップは、われわれの構想を実験室から外に出して、実際に通信ネットワークに導入することである」とDr. Laingはコメントしている。
 システムはフォトンを情報キャリアとして使い、その構想はブリストル大学で開発した集積量子回路に依存している。これらの微小なマイクロチップはセキュアな量子通信技術の普及にとって不可欠であり、安全なモバイルバンキング、オンライン商取引、情報交換に新たな夜明けを告げるものであり、いずれ国家情報局(NSA)保証付きのモバイル機器の生産に行き着くことになる。
 研究チームの論文によると、「クライアント-サーバQKDスキームを実証した」となっている。レーザやディテクタなどの大きなリソースはサーバサイドに設置し、これは通信ファイバを介してアクセスできる。クライアントはオンチップ偏光回転子のみが必要で、それはハンドヘルド機器に実装しておけばよい。
 実験のセットアップでは、サーバ側に通信波長(1550nm)レーザと1MHzパルスジェネレータ、固定ボラライザがあり、PMFを通してパルス光をクライアントに送る。クライアント側では、集積偏波コントローラが量子ビットを減衰された光の偏光にエンコードする。ファイバビームスプリッタとPDが、悪意のある攻撃に備えて常にパワーをモニタしている。サーバ側に戻ってきた量子ビットを同様の偏波コントローラ、ファイバ偏光ビームスプリッタと超伝導シングルフォトンディテクタ(SSPD)で計測する、これらは全て電子ボード同期、FPGAおよびプロセッサでコントロールされている(‘Reference frame independent quantum key distribution server with telecom tether for on-chip client’ by P. Zhang,et al. in Physical Review Letters, 2 April 2014)。