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シリコーン膜、ミクロンスケール温度マップを実現

October, 10, 2018, Syracuse--チップにラボの多機能を統合することで、マイクロ流体デバイスは、ラボテストを、医者の診察室、限られたヘルスケアサービスのセッティングで行えるようにする。新開発のシリコーンベースの膜により、ミクロンスケールの温度マップ作成が可能になる。これは、影響を受けやすい細胞や脆弱なDNAをマイクロ流体デバイスを適切な温度に保つ方法の理解に役立つ。
 「温度は、ほとんどの生物学的アプリケーションにとって重要であり、正確な生体医療テスト結果達成には極めて重要である。われわれが作製した膜は、デバイスのマイクロチャネルに設置可能である。これは、レーザ誘起蛍光温度測定として知られる技術を使って詳しい温度マップ作成を目的とするものである」とメキシコ国立自治大学研究チームのJuan Hernández-Corderoは説明している。
 Optical Materials Express誌で、研究チームは、複合高分子膜を報告している。これは、単純混合で作製され、サンプルを全く損傷することなく、ピクセルあたり2.7µmの空間分解能で、1℃の温度変化を検出できる。この分解能は、光ファイバ先端からの光による加熱を観察できるレベルである。

マイクロヒーターの温度を計測
 研究チームは、脳疾患処置に光学技術を使う新方法を開発するために、カリフォルニア大学リバーサイドで共同研究していた。その際に直面した問題を解決するために新しい膜を開発した。
「われわれは、光熱治療のためにファイバオプティクデバイスを開発していた。これは、光を使って腫瘍処置のために熱を生成する。われわれは、ファイバオプティックマイクロヒータで生成する温度を計測する信頼できる方法がないことに気づいた」とHernández-Corderoは話している。
 研究チームは、温度に敏感な蛍光染料、ローダミンBを用いて温度を計測するレーザ誘起蛍光温度測定を調べた。それは小スケールで計測できるが、水やエタノールなどの液体溶剤で計測するには、そのローダミンは溶けなければならない。光マイクロヒーターでは、液体中の計測は、高熱が発生するために、問題のある気泡の原因となる。
 研究チームは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)として知られるシリコーンとローダミンBとを混合することで新しい温度に敏感な膜を開発した。その膜は、レーザ誘起蛍光温度計測で使えるが、液体溶剤中で測る必要はない。レーザ光を膜に照射後、膜からの蛍光の変動する輝度を撮り、膜全体で温度マップに変換する。
 「光熱治療では、治療が効果を発揮するために重要な細胞イベントを始動させる一定の温度範囲がある」とHernández-Corderoは言う。「だから、デバイスでの温度計測に加えて、膜は組織サンプルの温度を高精度計測できる」。
 膜をテストするために研究チームは、高精密温度制御システムを持つホットプレートを使い、ホットプレートの温度と膜で取得した温度とを比較し調べた。この試験が成功した後、研究チームはその膜を使って、750×650µmの過熱エリアを持つファイバオプティクマイクロヒータの感度マップを作成した。

計測品質の改善
 概ね、研究チームはレーザ誘起蛍光温度計測では確立された手順にしたがった。しかし、レファランス計測取得に使用されたプロセスでは一定の改善があった。これは、計測にノイズを持ち込むレーザ変動を説明するために必要である。
 ノイズ源をキャンセルするために一般に2つの染料が使われるが、研究チームは、レファランスとしてレーザビームの一部を使用する方法を開発した。そのレファランス情報を画像処理スキームに組み込むことにより、ノイズ画像の原因になるどんなレーザ変動も直接除去することができた。これは、温度に感度がある膜で取得した計測の品質改善に役立った。
 「われわれの設定機能は、使用される画像分析に強く依存する。われわれのシステムの1つの利点は、その膜で温度マップを取得すると、どんな処理技術を使っても画像を解析できること。ほとんどの小スケールアプリケーションでは高速応答時間は必要とされないが、より薄い膜で、一段とダイナミックな温度変化を読み取ることができるようになる。われわれに可能な、また正確な読み取りを実現できる膜の最小厚を見つけたい」とHernández-Corderoは話している。