October, 5, 2018, Munich--高速、高精度に対象物の形状と光反射特性を計測できるコンパクトなイメージングシステムが開発された。この5Dハイパースペクトルイメージングシステムは、光の多波長と空間座標を時間の関数で捉えることができるので、製品の光ベース分類、空港の安全なエリアの人々の特定を含め、多様なアプリケーションにメリットがある。さらなる小型化により、そのイメージャは、果物の成熟度のスマートフォンベースの検査、個人医療モニタリングを可能にする。
さらに、「われわれのイメージングシステムは対象物との接触を必要としないので、歴史的に価値のある芸術作品の記録にも使える」とフリードリッヒシラー大学、フラウンホッファ応用オプティクス&精密工学、Stefan Heist研究チームリーダーは説明している。また、同氏は、これは、対象物の材料成分を研究しながら、詳細で正確なデジタルアーカイブの作成にも使える、と付け加えている。
ハイパースペクトルイメージャは、通常のカメラの3波長ではなく、数10~数100の色(波長)を検出する。従来のハイパースペクトルイメージの各ピクセルは、2D座標にリンクした特殊範囲で、波長依存の照射強度があった。
ドイツ、イルメナウ工科大学、Gunther Notniの研究グループと共同開発した新しいハイパースペクトルイメージングシステムは、次元情報を追加することで、このイメージングアプローチをさらに前進させる。Optics Expressに発表された論文で、研究グループは、新しい5Dハイパースペクトルイメージャが、時間、X、Y、Z空間座標、電磁スペクトルの可視光から近赤外までの光反射に基づいた情報がどのように収容できるかを説明している。
「対象物の形状、そのスペクトル特性の両方を決めることを狙った最先端のシステムは、マルチセンサベースであり、精度は低く、計測時間は長い。対照的に、われわれのアプローチは、優れた空間とスペクトル分解能、高い深さ精度、高フレームレートを一つのコンパクトなシステムに統合している」とHeistは説明している。
研究チームは、ラップトップサイズ、200×425mmのプロトタイプシステムを作製した。3D画像形成には2つのハイパースペクトルスナップショットカメラを使い、わずかに異なる2つの方向からシーンを捉えることで人の眼と同様の深さ情報を取得する。両方のカメラ視野にある対象物表面の特定点を同定することで、その対象物の一連の空間的データ点を作ることができる。しかし、このアプローチは、対象物が、あいまいさを残さずに点を特定できる質感と構造を持つ場合にだけ機能する。
スペクトル情報と、質感や構造化が見込めない対象物の表面形状の両方を撮るために、研究チームは特別に開発した高速プロジェクタをシステムに組み込んだ。機械的投影法を用い、一連の非周期的な光パタンを使って対象面に人工的に質感を持たせる。ハイパースペクトルカメラの異なるチャネルから得られるスペクトル情報を次にこれらの点にマッピングする。
高速ハイパースペクトルイメージング
研究チームは、カメラのスペクトル挙動、システム全体の3D性能を分析することで、プロトタイプの特性を明らかにした。可視光から近赤外までの5D画像を17fpsで撮ることができ、他の同様のシステムよりも遙かに高速である。
文化的に重要なオブジェクトを分析するプロトタイプの有用性を実証するために、研究チームはそれを使って1885年の歴史的なリリーフ球をデジタル的に記録した。また、人の手の近赤外5Dモデルも作成し、同システムが血管検出の簡便な方法として使用可能であることを示した。そのイメージャは、農業アプリケーションにも使用できる。研究チームは、それを使って、水の吸収にともなう柑橘類の葉の反射スペクトルの5D変化を撮った。
研究チームは、より優れたSNR、すなわち異なるスペクトルチャネル間のクロストークを少なくしたハイパースペクトルカメラを使い、プロトタイプの最適化を行う計画である。