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現在のLN変調器より100倍小型化した集積オンチップ変調器

September, 27, 2018, Cambridge--ハーバード大学SEASの研究者によると、現在のLN変調器は、間もなく真空管やフロッピーディスクの道を辿る可能性がある。
 SEASの研究チームは、現状のLN変調器よりも100倍小型、20倍高効率の集積オンチップ変調器を製造、設計する新しい方法を開発した。研究成果は、Natureに掲載されている。
 SEAS Tiantsai Lin教授、電気工学、論文のシニアオーサ、Marko Loncarは、「この研究は、集積フォトニクスにおける基本的な技術ブレイクスルーを実証するものである。われわれのプラットフォームは、大規模、超高速で超低損失のフォトニック回路につながるものであり、将来の量子通信、古典的なフォトニック通信やコンピュテーションで広範なアプリケーションを可能にする」とコメントしている。
 ハーバードの技術開発オフィス(OTD)は、スタートアップ会社設立でLoncar Labと密接に協力した。HyperLightは、この研究に関連する基本的なIP(知的所有権)ポートフォリオを商用化する意向である。
 LN変調器は、現在の通信のバックボーンであり、電気データをファイバオプティックケーブルの光情報に変換する。しかし、従来のLN変調器は、大きく高価で、電力を喰う。これらの変調器は、3~5Vの駆動電圧を必要とする。これは一般的なCMOS回路で供給される約1Vよりも遙かに高電圧である。結果的に、その変調器を駆動するために、別の、電力を喰う増幅器が必要になり、チップスケールのオプトエレクトロニック集積を大きく制約している。
「リチウムナイオベート(LN)を小さなチップに集積することで、駆動電圧は、CMOS適合レベルに低減できることをわれわれは示している。素晴らしいことに、これらの微小変調器は、210Gb/sまでのデータ伝送レートをサポートできる」とSEASフェロー、現在香港市大学助教、Cheng Wangは説明している。
 「高集積で高性能な光変調器は、オプティクスとデジタルエレクトロニクスの集積に非常に重要であり、将来のファイバ・イン・ファイバ・アウトオプトエレクトロニック処理エンジンに道を開く。われわれは、この新しい変調器技術をそのようなソリューションの有望な候補と見なしている」とノキアベル研光伝送研究ディレクタ、Peter Winzerはコメントしている。
 リチウムナイオベート(LN)は、その分野の多くの人々によって、小規模で使用することが難しいと見なされている。そのため、これまで、オンチップアプリケーションでの実用的集積を除外しなければならない障害となっている。以前の研究で、研究チームは、リチウムナイオベート膜に、マイクロ共振器を物理的に形成する標準プラズマエッチングを使って高性能リチウムナイオベートマイクロ構造を作製する技術を実証した。
 その技術と特殊設計の電気コンポーネントを統合し、研究チームは今度は、集積された高性能オンチップ変調器を設計、製造することができる。
「以前は、変調器をより小さく、高集積にしようとすると、その性能で妥協を強いられた。例えば、既存の集積変調器は、光がチップ上を伝搬するにしたがい、光の大半を簡単に失う。それに対して、われわれは桁違いに損失を減らした。根本的に、われわれは損失なしで光を制御することができる」とSEASポスドクフェロー、Mian Zhangは説明している。
 「これらの変調器を他のコンポーネントと同一プラットフォームに集積できることで、次世代長距離光ネットワーク、データセンタ光インタコネクト、ワイヤレス通信、レーダー、センシングなどで実用的なソリューションが可能になる」。