September, 18, 2018, 広州市--テルルナノ粒子は、太陽照射を吸収、あるいはセンサや小さなアンテナへの集積に役立つ。
少なくともこれまでの10年で、太陽光を使って水をスチームに変換し電気タービンを走らせ、あるいは脱塩を行う「太陽熱」技術は、投資業界のお気に入りになっていた。約6年前、ナノ粒子がこの太陽熱ゲームに参入してきた、ライス大学(Rice University)の研究者がナノ粒子を冷水に加え、太陽光と組み合わせることでスチームを発生させることができたからである。
それ以来、現在、光変換と言われているものの多くの研究がプラズモニクス分野に取り組むようになっている。これは、フォトンが金属表面にぶつかるときに生成される電子の波を利用する。しかし、プラズモンナノ構造の生成は、あるナノ粒子を水に加えるほど簡単ではないことは確かである。
中国の研究者は、ナノ粒子を水に加える容易さと、プラズモンとを組み合わせて、光熱変換プロセスを実現した。これは、これまでに報告された、全プラズモン、あるいは全誘電体ナノ粒子を凌駕するものである。
中国、中山大学の研究チームは、太陽光を受けるとプラズモンと完全誘電体特性の両方を同時に示す初めての材料をScience Advancesに報告した。
この組合せ達成のキーは、同大学G. W. Yang教授によると、固有の光学的二重性を持つ、テルル(Te)ナノ粒子の利用である。
この粒子を水に散乱させることによって、水の蒸発速度は、太陽照射下で3倍改善される。これによって水の温度が、100秒で、29℃から85℃への上昇が可能になる。
「Teナノ粒子は、120nm以下の時、プラズモンナノ粒子のように機能し、そのナノ粒子が120nmよりも大きいときは、高指数全誘電体ナノ粒子として機能する」とYangは説明している。
テルルナノ粒子は、サイズ分布が広範(10~300nm)であるので、この二重性を達成できる。この改善された吸収性は、太陽照射スペクトル全体をカバーすることができる。
テルルナノ粒子のもう1つの特性は、それが太陽光で励起されるとき、励起エネルギーが完全にキャリア(電子とホール)に移転されることである。このことはキャリアの均衡を失わせ、より高い温度で特殊な運動状態にさせる。
Yangの説明によると、系は均衡に向かうので、これらのキャリアはリラックスする。キャリアが散乱するにつれて、クーロン熱化として知られる現象に至る。これは、フォノンと結合した熱平衡キャリアの熱い気体となり、その過剰なエネルギーを格子に移転する。これは、テルルナノ粒子の効率的加熱になる。
このアプローチを商用脱塩で機能させるには、液体でのナノ秒レーザアブレーションでテルルナノ粒子を生成する現在の方法に限界があることをYangは認める。「現在、われわれは他の方法でテルルナノ粒子を準備しようとしている」と同氏は話している。
テルルナノ粒子は、固有の光学的二重性を持っているので、その技術には他のアプリケーションがあると同氏は考えている。「センサ、あるいはナノアンテナでそれを適用したい」と同氏は言う。
(詳細は、https://spectrum.ieee.org)