August, 27, 2018, Manchester--グラフェンフラッグシップパートナーの研究グループ(CNIT, Imec, University of Cambridge)は、現行のシリコンベースの製品を凌駕するグラフェンベースの位相変調器を作製しテストした。
最新の光データと通信は位相変調器を使って、伝送データ量とデータレート効率、つまり情報が伝送される速度を増やしている。
位相変調器は、いくつかの情報ビットをグループ化して少ないシンボル、つまりパケットにすることで動作し、全般的なサイズ、スペクトル幅を減らしている。しかし自然のトレードオフのためにこの効率は,シリコンベースのデバイスでは最大に達する、したがって、データ需要増と、それを伝送する効率との間のギャツプをブリッジするには、もっと斬新なソリューションが必要である。
この新しいソリューションは、グラフェン方式である。大きな光変調と高速動作のために、以前からあるシリコンフォトニクスとの集積にグラフェンは理想的である。
多国籍チームが、グラフェンベースの変調器の効率を調べるためにいくつかテストした。単層グラフェンを化学気相法(CVD)で成長させ、シリコンフォトニックプラットフォームに移転した。CNITのMarco Ramagnoliは、「シリコンの上に接着テープのようにグラフェン片を設置した。これにより得られた位相変調器はどんな波長でも動作し、スペクトル効率は、最先端のシリコン位相変調器の10倍以上だった」とコメントしている。
このハイブリッド位相変調器は、低光損失、低エネルギー消費で、50kmまでの伝送でエラーフリービット動作が可能である。さらに、プロセスとデバイス形状を最適化することで無線周波数帯域は、ハイエンドの既存変調器に匹敵するところに高めることが可能である。
Graphene Flagshipパートナー、AMO GmbHのディビジョン3リーダー、Daniel Neumaierによると、この技術はモバイル技術のカーボンフットプリント削減の決め手にもなる。「世界のウエブのバックボーンを構成する光通信システムは、すでに世界のCO2フットプリントの一大原因となっている。エネルギー消費を減らすために、この研究は、グラフェンベースの光位相変調器が光データリンクの重要コンポーネントになり得ることを実証している。報告された変調器の効率は、すでに従来のシリコンベース変調器を凌ぐものである。変調器の効率は、エネルギー消費全体で明らかな重要パラメータである。このデバイスを適用するために次の重要ステップは、ウエファスケールCMOS集積である。この課題は現在、グラフェンフラッグシップ内の先端的ヨーロッパの研究センタや企業が取り組んでいる。
Graphene Flagshipの科学技術オフィサ、マネージメントパネルのチェア、Andrea C. Ferrari教授は、「フォトニクスとオプトエレクトロニクスアプリケーションは、Flagshipの最初から大きなアプリケーション潜在力を持つと見なされてきた。この研究は、2020年に向けて400Gbpsデータリンクを目標として、通信およびデータコム企業の事業ユニットへの組み込みを準備する先端プロジェクトを支えるものである」とコメントしている。