Science/Research 詳細

THzタイムドメイン分光法、レーザダイオードの挙動を解明

August, 16, 2018, Manchester--テラヘルツ周波数技術を利用する先駆的研究者が、初めてレーザの周波数選択プロセスを調査した。その成果は、通信などで使用される半導体を含め、将来の半導体開発を支えるものとなる。
 何年も前から、半導体レーザの動作周波数は数ナノ秒のタイムスケールで安定し、数100ピコ秒で変わると予測されている。
 これまで、これを正確に計測し証明できるディテクタは存在しなかった。最良の成果でも、ナノ秒タイムスケールで達成されたものであり、これでは実際の効率的な分析をするには遅すぎ、最も効果的な新しいシステムの開発には使えなかった。
 University of Leeds(リーズ大学)の研究者は、パリのエコルノルマルスペリエール(École Normal Supérieure)、ブリスベインのクイーンズランド大学(University of Queensland)の国際チームと協力して、このレーザ安定化プロセスの理解のためにテラヘルツ周波数量子カスケードレーザ(QCL)とテラヘルツタイムドメイン分光法を使った。
 テラヘルツ-パワード技術は。前例のないレベルの精度で、フェムト秒周期の光波長を計測できる。レーザ内で波長が変わる速度、また微小時間枠内のそのプロセス中に起こることを知ると、より効率的なデバイスとシステムを構築できる。
 電気・電子工学部のDr Iman Kunduは、この研究を説明する論文の中心的著者。同氏は、「レーザ発光が、数十億分の1秒以下で、多波長から単一波長に進化するのを見るためにテラヘルツ技術の超高速検出能力を利用した。
 信じられないような小さな時間枠でレーザ発光の詳細を見ることができるので、安定した状態から新たな安定状態に移行するにともない、光波長がどのように変化するか知ることができる」。
 「商用システム設計者にとってのメリットは潜在的に意味がある。テラヘルツ技術を利用できる分野は多くないが、その価値はトレンドを際立たせ、集積フォトニクスデバイスの詳細な動作を説明できるところにある。こうしたデバイスは、薬剤やエレクトロニクス分野にある複雑なイメージングシステムで使用されている。
 設計者は、こうした成果を、電磁スペクトルの様々な部分で動作するレーザに適用することができる。基礎にある物理学は極めて似通っているからである」。
 リーズ大学、テラヘルツエレクロニクスチェア、この研究にも関わっているEdmund Linfield教授は、「われわれは、レーザ動作を明らかにするために先端的なテラヘルツ技術の能力を利用している。
 われわれの研究は、エンジニアや開発者に各自のシステムでパフォーマンスを高めるにはどこに注目すれば良いかを示すことである。これにより、UKの科学と工学基盤の世界的な競争力を高めることになる」とコメントしている。
(詳細は、https://www.leeds.ac.uk/)