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青色狭光で燃える炎を透して背後のものを見る新アプリケーション

August, 16, 2018, Gaithersburg--NISTの研究チームは、通常の青色光を使って、大規模な、煙の少ない天然ガス火災、実験室の火災研究や耐火基準試験などの火災で囲まれた物体の透視力が大幅に改善されることを実証した。
 Fire Technology誌の論文によると、NIST青色光イメージング法は、大規模な試験火災から映像データ取得に役立つツールとなる。このような試験火災では、温度が通常の電気センサ、機械センサを無効にし、あるいは破壊する。
 その方法は、デジタル画像相関法(DIC)など光学分析を使用する研究者に詳細な情報を提供する。DICは、対象物が歪みや熱などの加えられた力で歪む時、その連続的画像を比較する技術。一つの画像から次へと個々のピクセルの動きを正確に計測することで、研究者は材料が時間の経過とともにどのように反応するかについて貴重な洞察を得る。これには、歪、置換、歪み、破綻の微視的な始まりなどの挙動を含む。
 とはいえ、DICを使って、火災が建築材料にどのように影響しているかの研究では、特殊課題に直面する。明るく、素早く動く炎がサンプルとカメラの間にあるとき、研究に必要な鮮明さでどのように画像を取得するか。
 「火が、可視スペクトルでのイメージングを困難にする3点はこういうことだ。信号がススや煙で完全にブロックされる。炎から出る光の強度で覆い隠される。光を屈折させる熱い空気の熱勾配で歪められる」とNISTの国立火災研究所(NFRL)、論文の著者、構造工学技術者、Matt Hoehlerは説明している。「われわれはススが少なく、煙がないガスの火をテストで使うことが多いので、克服すべき問題は明るさと歪みだけだった」。
 研究チームは、材料がまだ熱くて光を放っている製造中の材料の物理的特性をモニタする、ガラス産業とスチール産業から秘訣を拝借した。
「ガラスメーカーとスチールメーカーは、青色レーザを使って、白熱の材料から出る赤い光に対抗することがよくある。そのような材料は基本的にセンサを無効にする」とHoehlerは言う。「もしそれが過熱した材料で有効なら、燃えている材料でも機能すると考えた」。
 研究チームは、市販の安価な青色LEDを使った。実験用として、約450nmの狭スペクトル波長だった。
 最初、チームは、ターゲット物体をガス燃料のテスト炎の背後に置き、3通りの方法でそれを照射した。白色光だけ、炎を透過するように青色光を向ける、カメラの前に光学フィルタをつけた青色光。第3のオプションがベストであることが判明した。観察された炎の強度を10000倍下げ、極めて詳細な画像を生成した。
 しかし、単にターゲットを見るだけでは、青色光法はDIC分析に十分に機能しなかった。チームは、炎による光の屈折で起こる画像歪を除去しなければならないかった。
 「幸いなことに、加熱したスチールビームの歪や変形など、われわれがDICで明らかにしたい挙動は、炎に誘導された歪みと比べてゆっくりとしたプロセスであるので、われわれは多くの画像を取得し、大量のデータを収集して、計測を数学的に平均化して精度を高めるだけである」とHoehlerは説明している。
 そのイメージング法の効果を検証するため、研究チームは2つの大規模テストに適用した。最初は、火がどのようにスチールビームを曲げるか、もう1つは、木製パネルが徐々に炭化する部分燃焼で何が起こるかを見ること。両方ともで、イメージングは著しく改善された。
 「実際、材料の炭化の場合、青色光イメージングは、いずれ標準的試験法改善に役立つと見ている。青色光と光学フィルタリングを使い、われわれは実際に炭化を見ることができる。これは普通、標準テストでは炎の背後に隠されている。デジタルイメージングと組み合わせた、より鮮明な視界が、時間と空間で炭化の位置の正確な計測を改善する」とHoehlerは話している。
(詳細は、https://www.nist.gov)