April, 4, 2014, Vienna--ウィーン工科大学(TU Vienna)は、新しい極薄光ディテクタを開発した。ここでは、2つの異なる技術、メタマテリアルと量子カスケード構造とを初めて統合した。
半導体層の超薄システムは、電圧を光に換えるが、その反対も可能であり、光検出器としても使える。これまでは、このような半導体層システムに光を結合することは難しかった。ウィーン工科大学の研究チームは、特別な微細構造によりテラヘルツ領域で光を操作することができるメタマテリアルを使い、この問題を解決した。
「超薄層半導体システムには大きなメリットがある、その電子特性が極めて高精度に調整できるからだ」とTU ViennaのKarl Unterrainer教授は言う。適切な材料を選び、層の厚さとデバイスの形状を調整することでシステム内の電子の振る舞いが影響を受ける。このようにして量子カスケードレーザが造られ、そこでは電子がレイヤからレイヤに跳び、そのたびにフォトンを放出する。また、1つの特定の波長に選択的に感度を持つ光ディテクタも作製できる。
しかし問題は、量子物理学によって一定の共振方向(偏光)のフォトンは半導体システムの電子と相互作用できないことである。層状の面に正面から当たる光は半導体の電子に影響をあたえることはできない。したがって、半導体層で検出されるように、入射光の偏光を回転させる必要がある。
これは、普通ではない方法、メタマテリアルを用いて行うことができる。メタマテリアルは、入射光の波長よりも小さな周期性の幾何学的秩序構造を持っている。この構造の形状により光は散乱させられる。ある波長は吸収され、別の波長は反射される。蝶の翅の不思議な閃輝色は、まさにこの種の効果からくるものだ。半導体構造上のメタマテリアルは、入力光が内部の電子と相互作用するように、入力光の偏光を回転させることができる。
この実験で使われた光は可視光よりも長い波長で、テラヘルツまたは赤外領域にある。この種の放射は重要な技術的応用、例えば次世代のコンピュータ技術などのアプリケーションが考えられるが、この種の波長を扱うのは難しい。
ウィーン工科大学の発見は、テラヘルツ用光ディテクタのチップへの集積可能性に道を開く。Unterrainer氏の説明によると、従来の製法では、そのようなディテクタは大きなアレイになる。TU Viennaのアプローチでは、ナノメートルオーダーの厚さで十分光を検出できる。このディテクタは、検出する光の波長よりも1000倍薄い。