July, 24, 2018, San Diego--UCSDの研究チームは、アルミニウム結晶にネオジウムイオンをドープすることで、新しいレーザ材料を開発した。新材料は、ハイパワー超短パルスを発振することでができる。これは潜在的に、優れた耐熱衝撃性、広い可変性、高デューティサイクルをもつ小型で強力なレーザとなる。
この進歩を実現するために研究チームは、高濃度のネオジウムイオンをアルミニウム結晶に溶かす新しい材料加工戦略を考案した。結果としてのネオジウム-アルミニレーザ利得材料は、レーザ材料研究分野における初めての成果である。それは、先進的な固体レーザ利得材料の一つと比較して24倍の耐熱衝撃性を持つ。
研究成果は、Light: Science & Applicationsに掲載された。
ネオジウムとアルミニウムは、今日の先進的固体レーザ材料で最も広く用いられている構成要素である。ネオジウム、発光原子は、ハイパワーレーザに用いられる。アルミニウム結晶は、発光イオンのホスト材料として用いられ、超短パルスレーザ製造に利用される。アルミニウム結晶は、高い耐熱衝撃性という優位性があり、温度の急激な変化、高熱負荷に耐えることができる。
しかし、ネオジウムとアルミニウムを結合してレーザ発振媒体を造ることは難しい。問題は、それらがサイズ的に相容れない点にある。アルミニウム結晶は一般的に、チタンやクロムのような小さな結晶のホストとなる。ネオジウムイオンは大きすぎる。通常、ネオジウムのホストになるのは、YAGという結晶である。
ネオジウム-アルミニウムハイブリッドを造るカギは、2つの固体をいっしょに急加熱、急冷却することである。従来、研究者たちは、アルミニウムを他の材料とともに溶かし、次いで結晶化させるためにその混合物をゆっくりと冷却することによってドープしようとしていた。「しかし、このプロセスは遅すぎてネオジウムイオンがドーパントとして機能しない。ネオジウムイオンは、結晶化につれて、アルミニウムホストから投げ出されてしまう」と研究グループのポスドク研究者、論文の筆頭著者Elias Penillaは説明している。したがって、Penillaのソリューションは、加熱と冷却のステップを速め、ネオジウムイオンが逃げないようにすることであった。
新しいプロセスは、加圧したアルミニウムとネオジウム粉末の混合物を300℃/分で、1260℃まで急加熱する必要がある。これは、高濃度ネオジウムをアルミニウム格子に「溶かす」ことができる高温である。固溶体は、その温度で5分間維持され、次に、300℃/分で急冷される。
研究チームは、X線回折と電子顕微鏡を用いてネオジウム-アルミニウム結晶の原子構造を評価した。レーザ発振能力を実証するために、研究チームは、その結晶に赤外光(806nm)を光励起した。その材料は、1064nmの低い周波数で増幅光(利得)を発振した。
テストでは、研究チームは、ネオジウム-アルミニウムが、優れた固体レーザ利得材料、つまりネオジウム-YAGと比べて24倍耐熱衝撃性があることを実証した。「このことは、この材料に、それが壊れるまでもっと多くのエネルギーをポンプできることを意味する。つまり、これを使ってより強力なレーザを造れると言うことである」とGarayはコメントしている。