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3Dプリンターを利用して完璧なテラヘルツビームを実現

July, 17, 2018, Wien--ウィーン工科大学(TU Wien)は、テラヘルツビームの非常に正確な成形に成功した。これに必要なすべては、3Dプリントした簡単なプラスチックスクリーンである。
 テラヘルツ照射は広範なアプリケーションで使用でき、現在、研究室における材料分析や、空港でのセキュリティ検査に使用されている。この照射波長は、ミリメートル範囲にあり、可視光の波長よりもはるかに大きい。また、そのビームを操作し適切な形状にするには特殊な技術を必要とする。TU Wienでは、テラヘルツビームの成形で大成功を収めた。3Dプリンターで作製した、正確に計算されたプラスチックスクリーンの助けを借りて、テラヘルツビームは望み通りに成形できる。
 TU Wien固体物理学研究所、Andrei Pimenov教授は、「通常のプラスチックはテラヘルツビームには透明である。ガラスが可視光に対して透明であるのと同じことだ。しかし、テラヘルツ波は、プラスチックを透過する時に、わずかに減速する。つまり、ビームの山と谷とがわずかにずれる、それを位相シフト(変位)と言う」と説明している。
 位相シフトを使ってビーム成形ができる。単純化して言うと、ガラス製光学レンズと同じことが起こる。レンズの中央が端よりも厚いと、中央のビームは、同時にレンズの端に入るビームよりも、ガラスの中で使う時間が長くなる。したがって中央の光ビームは、端の光ビームよりも位相遅延が大きい。これは、正にビーム形状を変え、光の広いビームを一点に集光することができる。
 しかし、可能性はまだこれにつきるわけではない。「われわれは、広いビームを一点にマッピングしたいだけではない。目標は、どんなビームでも任意の形状にできるようにすることである」と研究チームのPhD学生、Jan Gosporadičは話している。
 これは、精密に適合させたプラスチックスクリーンをビームに挿入することによって達成される。スクリーンは、直径わずか数㎝、厚さは、0~4㎜の間で変化する。ビームの異なるエリアの偏向が制御され、最終的に所望の画像になるように、スクリーンの厚さは、段階的に調整されなければならない。その所望のスクリーンデザインを得るために特殊な計算方が開発された。これを基にわれわれは、通常の3Dプリンターで適切なスクリーンを作製した。
 Andrei Pimennovによると、そのプロセスは驚くほど簡単である。特殊な高分解能の3Dプリンターさえ必要でない。「使用する放射の波よりも、構造の精度が大幅に優れていれば、それで十分である。波長2㎜のテラヘルツ放射では、これは全く問題ない」。
 その技術の可能性を強調するために研究チームは、様々なスクリーンを作製した。TU Wienロゴの形状にビームを広げるのは、その一つである。