July, 5, 2018, Munich--ミュンヘン工科大学(TUM)の物理学者、Alexander Holleitnerと Reinhard Kienbergerは、わずか数ナノメートルの金属アンテナを使うチップで超短電気パルス生成に初めて成功した。信号は、表面より数ミリメートル上を走り、制御された方法でそれを再度読み取ることに成功した。同技術により、新しい、強力なテラヘルツコンポーネントの開発が可能になる。
古典的なエレクトロニクスの周波数は最大100GHzまでが可能である。オプトエレクトロニクスは、10THzから始まる電磁現象を利用する。この範囲は、テラヘルツギャップと言われている。信号生成、変換、検出用のコンポーネントの実装が極めて難しいからである。
TUMの研究チームは、微小な、プラズモンアンテナを使い最大10THzまでの周波数の電気パルスを生成し、それをチップ上を走らせることに成功した。研究チームは、その形状から、アンテナをプラズモンifと呼んでいる、アンテナは金属表面で光強度を増幅する。
非対称アンテナ
アンテナの形状は重要である。非対称。ナノメートルサイズの金属構造の片側が他方よりも多く突き出している。レンズ集光レーザパルスがそのアンテナを励起すると、アンテナは反対側のフラットな部分よりも突き出した側で、より多くの電子を放出する。電流は接点間を流れるが、アンテナがレーザ光で励起されている限りである。
「光電子放出で、光パルスにより電子が金属から真空に放出される。ライティング効果はすべて尖った側で強い、少量電流生成に使う光電子放出を含む」と論文の筆頭著者、Christoph Karnetzkyは説明している。
超短テラヘルツ信号
光信号はわずか数フェムト秒続き、アンテナの電気パルスに対応して短かった。技術的に、その構造は特に興味深い。ナノアンテナが、直径数㎜のテラヘルツ回路に組み込み可能だからである。
このようにして、200THzのフェムト秒レーザパルスがチップの回路で、周波数10THzまでの超短テラヘルツ信号を生成することができた、とKarnetzkyは説明している。
研究チームは、サファイアをチップ材料に使用した。サファイアは、光学的に刺激されず、したがって干渉を起こさないからである。アプリケーションを念頭におき、チームは、光通信に導入されている1.5µm波長のレーザを使用した。
驚くべき発見
研究チームは、もう1つの驚くべき発見をした。電気パルスとTHzヘルスパルスの両方とも、賞されるレーザパワーに次第で非線形となった。これは、アンテナの光子放出が光パルスあたりのマルチフォトン吸収によって始動することを示している。
「そのような速い、非線形オンチップパルスは、これまでになかった」とAlexander Holleitnerは言う。この効果を利用して、アンテナでもつと高速のトネル放出効果を発見し、それらをチップアプリケーションに利用することを、同氏は考えている。
(詳細は、www.tum.de)