July, 3, 2018, San Francisco--サンフランシスコの3D組織プリンティング会社、Prellis Biologicsは、生存可能な毛細血管を持つヒト組織のプリントで記録的な速度と分解能を達成し、移植用臓器プリンティング目標を現実に近づけたと発表した。
「再生医療の主要な目標は、生体器官を造ることだが、毛細血管を形成するために必要な速度と分解能で組織をプリントできたものはだれもいない。Prellisでは、われわれはその技術を開発した。これは重要な医療の進歩に、究極的には機能器官の移植に道を開く」とPrellis BiologicsのCEO/共同創始者、Melanie Matheuは説明している。
Prellis のホログラフィック3Dプリンティング技術は、複雑な微小血管、ヒト組織の存続を可能にするスカフォールディングを造ることができる。プリンティング速度は極めて重要である。細胞は、血液の供給なしでは、限られた時間しか生きられないからである。また、細胞の詰まった組織は、酸素や栄養が毛細血管で速やかに供給されなければ、30分足らずで死ぬ。
毛細血管は直径5~10µmサイズである(人の髪の毛は、75~100µm)ので、微細なプリンティング分解能はスピードと同様に不可欠である。Prellis の技術は、0.5µmの分解能でプリントできる。
これまで、毛細血管を持つ1立方センチメートルの人の器官をプリントするだけで数週間以上かかった。Prellis の技術は、適切な位置に毛細血管がある高分解能組織構造を1000倍高速にプリントできる。「われわれが達成できるスピードは光学系の構成によって制約されるだけである」とDr. Matheuは言う。「われわれは現在、特注光学系の開発を検討している。これは、われわれの能力を飛躍的に高めることになる。究極目標は、腎臓の全血管系を12時間以下でプリントすることである」。
多くの企業が、押出プリンティングベースで生体プリンタや細胞適合プリントインクを開発しているが、これは毛細血管を形成して細胞を生かしておくには分解能が低すぎ、スピードが遅すぎる技術方式である。研究者たちは、紙のように薄い組織を造ることでこの欠点を回避してきた。紙のような組織は、複雑な毛細血管網から供給を受けるよりも、栄養素に浸さなければならい。Prellis の新しい技術は、薬剤や毒性テスト、究極的にはヒト組織向けの厚い機能組織にドアを開くものである。
「血管系は、複雑な組織の重要な特徴であり、治療的価値のある組織生成に重要である。Prellis の進歩は、器官再生追求における重要な到達点である」と先端デジタル組織イメージングとデータ解析会社、3ScanのCEO、Todd Huffmanは見ている。
(詳細は、https://www.prellisbiologics.co/)