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Science/Research 詳細

2つの準位から同時にレーザ発振する有機結晶を開発

June, 29, 2018, つくば--筑波大学などの研究者は、ストラスブール大学との共同研究で、π共役系分子マイクロ結晶からの同時多色レーザ発振注に成功した。
 研究グループの辻教授、中村教授らにより2012年に開発された炭素架橋オリゴフェニレンビニレン(COPV)は、発光特性と光耐久性が極めて優れたπ共役系有機分子。今回、研究グループは、2種類のCOPVが混合したマイクロ結晶の作成に成功した。得られた結晶を光励起すると、マイクロ結晶内で発光が閉じ込められ、誘導放出によりレーザ発振が起こることを確認し、COPVの混合比によっては2つの波長域から同時レーザ発振が起こることを明らかにした。さらに、銀基板表面で結晶が直立に成長することを見出し、結晶が寝た状態と比較してレーザ発振閾値を4分の1程度に低下することに成功した。
 このようなマイクロレーザは、微小レーザ光源としての応用に加え、光回路や化学・バイオセンシングとしての応用が期待できる。
 研究成果は、2018年6月14日付「Nano Letters」誌にて先行公開された。
 研究グループは、筑波大学数理物質系 山本洋平教授、同大学院数理物質科学研究科 岡田大地(物性・分子工学専攻 博士後期課程3年)は、神奈川大学理学部 辻勇人教授、東京大学大学院理学研究科 中村栄一特任教授、産業技術総合研究所。
(詳細は、www.tsukuba.ac.jp)