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太陽電池用鉛フリー、効率的なペロブスカイト

June, 27, 2018, Seoul--KAIST研究チームは、高効率な鉛フリー薄膜太陽電池の潜在的な活性材料として機能するペロブスカイト材料、Cs2Au2I6を提案した。この材料は、これまでに知られていたペロブスカイトの限界、安定性と毒性の問題を克服するための基盤をなすと期待されている。
 次世代高効率太陽電池の強力な候補としてペロブスカイト太陽電池は、最大光変換効率22%を記録し、高性能結晶シリコン太陽電池に匹敵する。加えて,ペロブスカイトベース電池は、低温製造可能であり、したがって飛躍的にコストを削減できる。
 しかし,従来の有機-無機ハイブリッドペロブスカイト材料は,安定性が低く,結果的に性能が劣化し、連続使用に不適切である。さらに、鉛含有が、環境フレンドリーを危うくする。
 こうしたことから、KAIST化学学部、電気光学部の研究チームは、以前に発見されていたペロブスカイト材料、無機物質だけで構成されるCs2Au2I6を分析し、薄膜太陽電池アプリケーションへの適性を調べた。理論的研究の示すところでは、この新しいペロブスカイト材料は効率的でり、従来のペロブスカイト材料に比べて安定的であり、環境フレンドリでもある。この分析のため研究チームは、マルチスケールマルチ物理学シミュレーションフレームワークを開発した。原子スケール第一原理量子計算により提案された材料の光特性を調べ、デバイススケール電磁シミュレーションを行って、その材料がデバイスレベルで有望な太陽電池材料として使えることを示した。
 ここから先は、研究チームは研究成果を2つの方向へ展開する計画である。そのペロブスカイト材料を実際の太陽電池に適用する実験研究と、太陽電池向けの適切で高安定材料を見つけるための理論的分析である。「ペロブスカイト材料は高効率であるが、従来の太陽電池に完全に取って代わるためには、その安定性と毒性の問題が、まずは解決されなければならない」チームはコメントしている。
(詳細は、http://www.kaist.ac.kr)