June, 20, 2018, Pasadena--40過ぎの女性にとってマンモグラフィは、年に1、2回必要だが、苦痛を感じる処置である。その技術は、乳ガン死を減らすために有益ではあるが,理想的ではない。患者をX線照射にさらし、苦痛を感じるほどに乳房をプレートの間に圧縮するからである。プレートは、胸を押しつぶし、X線が胸を透過し、鮮明な画像が得られるようにする。
早期発見は、乳ガン生存率を高めることが示されているが、苦痛であるため、マンモグラムを避ける女性が多く、必要な頻度に達しないことが多い。2013年の調査では、マンモグラムを回避する女性の半分は、苦痛を理由に上げている。
マンモグラフィでは、胸に問題が生ずる、例えば若い女性は「X線写真上の密度」、つまりX線に対していささか不透明になる。また、マンモグラムは過剰診断になりがちであり、女性の半分は、人生のある時期に偽陽性診断となる。
Caltechの研究チームは、よりよい方法を開発したと発表している。レーザ音響スキャナは、光パルスを胸に照射することでわずか15秒で腫瘍を見つけることができる。そのスキャニングシステム、光音響コンピュータトモグラフィ(PACT)は、Caltech医療工学と電気工学Bren教授のLihong Wangラボで開発された。
PACTは、近赤外レーザパルスを乳房組織に照射することで機能する。レーザ光は胸で拡散し、患者の赤血球の酸素を含むヘモグロビン分子によって吸収され、その分子を超音波振動させる。その振動が組織を透過し、乳房表面の512の微小超音波センサアレイで抽出される。そのセンサからのデータを使って、胸の内部構造の画像が組み立てられる。これは超音波イメージングと同じであるが、遙かに高精細である。PACTは、4㎝の深さで1㎜の1/4の微小構造を鮮明に作成する。マンモグラムは、PACT画像レベルの精度で軟組織のコントラストを提供することはできない、とWangは話している。
現在使用されている波長のレーザ光はヘモグロビンに強力に吸収されるので、PACTはスキャンされる組織内にある血管を主に示す画像を構築できる。それがガンの発見に役立つ。多くの腫瘍は固有の血管を成長させ、周囲に血管組織の稠密ネットワークを展開するからである。その血管は、腫瘍に大量の血液を供給し、腫瘍が急速に成長する。
PACTスキャンの間に患者は、超音波センサとレーザを収容した凹所のあるテーブルにうつ伏せになる。一度に片方の乳房を凹所に置き、レーザが下から乳房を照射する。スキャンは迅速で、わずか15秒であるので、患者はスキャン中に簡単に息を止めることができ、鮮明な画像が得られる。
PACTスキャンのスピードは、他のイメージング技術に対して優位性がある。例えば、MRIスキャンは45分かかる。MRIスキャンは、高価であり、患者の血液に造影剤を注入しなければならないことがある。
「ガドリニウムは、MRI向けの一般的な造影剤であり、全く無害と言うわけではない。ガドリニウムは、吐き気、嘔吐を起こすことがあり、数年は脳にとどまり、長期的な影響は未知のままである。それに対して、PACTは全く安全である。血管が固有の造影剤として働き、レーザ露光は安全限界の範囲内である」とWangは説明している。
PACT技術はすでにWangが設立した会社にライセンス供与されており、商用化と大規模臨床研究が予定されている。